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アクティビストの活動拡大、低PBR企業がターゲットに=2024年株主提案動向-EYSC調査

2024年10月08日 08時30分

2024年 株主提案動向調査

 EYストラテジー・アンド・コンサルティング(本社東京、近藤聡社長)は、「2024年 株主提案動向調査」をまとめた。それによると、株主提案を提出された企業は109社で、前期より7社増加した。アクティビスト(株主提案者)は、新規企業の開拓を積極化しているという。1-6月に開催された株主総会について分析した。

 EYパルテノンの篠原学ストラテジーリーダー パートナーは「アクティビストは、企業を選定する過程で、PBR(株価純資産倍率)を重視している。『低PBRからの脱却』を訴求できない企業は、引き続き株主総会でリスクにさらされ、取り残されることが予想される」と警鐘を鳴らしている。

◆「高賛成率の株主提案」は低下=改革計画が奏功

 調査によると、賛成が20%以上となった「高賛成率の株主提案」の割合は、48.2%で、前期(54.2%)より低下した。これについて、篠原氏は「議決権行使助言会社(ISS)は、経営改革を通じてROE(自己資本利益率)およびPBRの改善が進行している企業を支援している。『今期は低PBRながらも改革を実行している企業』が増加していることで、株主提案に対する賛成を抑制できた可能性が高い」と分析している。

◆「計画」から「実績」へ=評価軸が変化

 今後の対応については「株主提案に対する市場の評価軸は『改善実績』に比重を置きつつある。『低PBR脱却に向けた経営計画の提示』だけでは不十分で、『スピード感を伴う改善実績の提示』の重要性が高まっている。初期段階から利益成長を実現し、必要に応じて目標を上方修正することが必要になるだろう」(篠原氏)とアドバイスしている。

 

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