先進国の成長率は収れん=2025年の世界経済見通し-アムンディのモルティエ氏
2024年08月26日 15時00分
欧州の大手運用会社アムンディのグループCIO(最高投資責任者)で、アムンディ・ジャパン会長のヴァンサン・モルティエ氏が来日し、来年(2025年)の先進国経済について「成長率が収れんし、成長の差がそれほど見られなくなるだろう」と指摘した。
具体的には、米国で年率1.7%(24年は同2.3%)、欧州で同1.2%(同0.8%)、日本で同1.4%(同0.6%)と予想した。米国経済が減速する一方で、欧州や日本は回復が続く見通しだ。
米国経済は「弱さの最初の兆候が見えてきた」と指摘した。経済をけん引してきた消費が弱含み、貯蓄が低下し、クレジットの延滞が増加しているという。11月に予定されている米大統領選については、共和党のトランプ前大統領が再選された場合、「貿易における緊張度合いが高まる可能性がある」と話した。
欧州経済は「消費や投資が戻りつつあり、景況感に改善の兆しが見られる」と指摘した。ただ、回復のスピードは国により異なり、スペインやイタリアで強く、ドイツではやや弱くなっている。
日本経済は「最近の動きに、前向きなサプライズが見られる」と指摘した。「2%前後のインフレが定着する中で、継続的な賃上げによる実質所得の増加により消費が拡大する良い循環が生まれると見ており、日本経済は今後の成長に期待が持てる」と述べた。
◆新興国は相対的に高い成長率を維持
新興国の成長率は、先進国に対して優位な水準を維持する見通しだ。具体的には、中国の2025年の成長率は年率3.7%(24年は同4.8%)、インドは同6.1%(同6.6%)と予想した。
中国経済は「成長は鈍化しているが、全体的には政府のコントロール下にある」と指摘した。不動産や地方政府の問題は残っており、消費も弱含んでいるが、「中央政府と中央銀行が足並みをそろえており、政策ミックスが経済を下支えし、大きな問題を避けながら、成長を維持していくだろう」と述べた。
インド経済は「奇跡という状況ではないが、依然として良い成長ストーリーが見て取れる」と指摘した。地方のプロジェクトに対する投資のベースが強固で、消費を押し上げている。「インドの成長の質がより良いものになり、通貨の状況も安定していることが、インドへの投資を考える上でプラスの材料になりうる」と述べた。