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資産運用の必要性が高まる=インフレからの防衛、「長期・分散・積立」で-大和アセットの浜田氏

2026年02月19日 08時00分

浜田好浩氏

 大和アセットマネジメントはこのほど、銀行・証券会社の預かり資産ビジネス担当部署の幹部を対象に、「大和アセット・ファンドカンファレンス2026」を開催した。

 商品本部兼マーケティング本部シニア・ダイレクターの浜田好浩氏が「投信ビジネスの現状と今後の展望」をテーマに講演し、個人投資家が直面する現状について「インフレで実質賃金がマイナスになっている上、将来的に資産価値の目減りが懸念される。資産運用の必要性が高まっている」と指摘した。

 また、少額投資非課税制度(NISA)について「『国民の4人に1人が開設済み』とされるが、逆に言えば7000万人以上がまだ未利用だ。2027年末の政府目標の達成に向けて、啓発活動が活発化する可能性がある」と述べた。主なポイントは以下の通り。

◆顧客が直面する現状=インフレ、実質賃金のマイナス、資産格差

 勤労所得を見ると、名目賃金は上昇を持続しているものの、物価上昇に追いついておらず、実質賃金はマイナスが継続している。法人の内部留保は過去最高になっており、今後も賃上げ継続して物価上昇を上回ることが期待されるが、自社株買いや配当などの株主還元に回る可能性があり、勤労所得だけではその恩恵に預かれないかもしれない。

 物価動向を見ると、原材料・エネルギー価格の高騰や、円安、人手不足などを背景に、2022年4月以降、2.5~4.3%のレンジ中で物価上昇が続いている。日銀は政策金利を引き上げたものの、預金金利は低く物価上昇を補えない。日銀が目標とする物価上昇率年2%を想定して資産の実質的な価値を試算すると、5年後に1割減になり、30年後には5割減になる。

 一方で、好調なマーケットを背景に、その恩恵を享受して、いつの間にか富裕層が増加している。結果として、資産運用をしない人との資産所得格差が拡大している。ここ10年間の運用環境を振り返ると、分散投資によって長期的に運用成果は安定し、結果的にリターンの積み上げが可能であった。金融庁が奨励する「投資の王道は、長期・分散・積立」が実証されつつある。

 日本は、家計の現預金比率が高いことから、欧米に比べて家計金融資産の伸び率が低かった。直近でも、現預金が家計金融資産の半分程度を占めている。ただ、インフレからの資産防衛の必要性、新NISAの導入、株式等の時価の上昇を受けて、個人金融資産に占める投資信託の割合は上昇傾向にある。

◆新NISAで拡大する投信ビジネス=DC、iDeCoも拡充へ

 2024年1月にスタートした新NISAは、非課税保有期間が無期限になり、「つみたて投資枠(年間120万円)」と「成長投資枠(同240万円)」を合わせて、生涯の投資枠が1800万円になった。制度が拡充・単純化されて、使い勝手が大幅に向上した。2027年1月からは、18歳未満を対象とした「こどもNISA」がスタートし、全ての国民を対象とした制度になる。

 生涯投資枠の大きさから、多くの人にとっては全ての投資がNISA口座で完結する可能性がある。また、旧つみたてNISAと一般NISAが統合されたことで、パッシブファンドが大半を占める「つみたてNISA適格商品」がそのまま「成長投資枠」でも選択され、パッシブ化が進む可能性がある。

 商品選びのポイントは、これまで「運用コストの安さ」とされてきた。これは、自分で判断して投資を始めることができる「セルフ投資家」が、ファンド選択の決め手をコストとしてきたためだと考えられる。ただ、「セルフ投資家」の口座開設がひと段落することで、ファンド選択の基準が変わってくる可能性があるだろう。

 NISA口座の開拓は始まったばかりだ。NISA口座を開設しただけで、残高はゼロの投資家もいる。今後、投資金額が上昇するほど、対面での投資相談ニーズが高まることが想定される。NISA口座数に関する政府目標は、2027年末に3400万口座とされている。ただ、現状は2696万口座(2025年6月末)にとどまっている。さらに約700万口座の増加が必要で、政府を挙げて啓発活動が活発化する可能性がある。

 2027年1月からは、企業型確定拠出年金(DC)や個人型DC(iDeCo)の非課税投資枠も拡充されることから、税制優遇制度を活用した資産形成に注目が高まるだろう。

 

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