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NISA対象ファンドが96%占める=第1四半期の資金流出入動向-フィデリティ投信まとめ

2024年04月24日 08時30分

(※)商品開発部長の松本学氏(※)商品開発部長の松本学氏

 フィデリティ投信は、新NISA(少額投資非課税制度)がスタートした2024年第1四半期(1-3月)の公募投信市場(ETF、単位型、公社債投信を除く)の動向を分析した。それによると、3カ月間の資金流出入額は4.0兆円(前年同期は1.6兆円)と2.5倍に急拡大した。

 内訳をみると、その96%を新NISA対象ファンドが占めた。また、インデックスファンドが69%、アクティブファンドが31%だった。決算頻度を見ると、年1回決算型が88%、隔月決算型は1%にとどまった。投資対象のアセットクラスは、株式が91%だった。

 商品開発部長の松本学氏は、資産運用のポイントについて「自分のゴールを把握し、『何のために運用するのか』を理解した上で、そのゴールに合った運用商品を選択することがもっとも大切だ」と指摘。「商品選択を専門家のサポートに委ねたいというニーズは潜在的に非常に大きいので、販売会社のアドバイザーにしっかり情報提供していきたい」と述べた。

 同社は、企業調査に基づくアクティブ運用を得意とする。松本氏は「インフレや地政学リスクなどで先行きの不透明感が高まっている今こそ、グローバルな調査力を生かし、ボトムアップで銘柄を選択するアクティブ運用の強みが発揮されるときだ」と指摘。「アクティブ運用で得られる付加価値や効用をしっかり説明していきたい」と話した。

 隔月決算型ファンドへの流入は全体から見ると少ないものの、「人気の毎月分配型ファンドと同じ戦略で運用しており、商品に魅力がないわけではなく、まだお客さまに認知されていないようだ」と分析。同社が提供する隔月決算型ファンドは「投資先証券から入ってくるインカムゲインの範囲内で分配を行うことをめざしており、分配と資産成長の両立を目指す運用を行っている」と説明した。

(※)フィデリティ・インスティテュート首席研究員マクロストラテジストの重見吉徳氏(※)フィデリティ・インスティテュート首席研究員マクロストラテジストの重見吉徳氏

 フィデリティ・インスティテュート首席研究員マクロストラテジストの重見吉徳氏は、投信市場の動向について「インフレによりキャッシュ(現金)の価値が危うくなったことで、株式等の資産にお金が逃げる、新しい形の『質への逃避』が起きている」と分析した。その上で、資産運用の意義は「『資産を増やすため』から『資産価値を保全するため』に変化している」と説明、「より幅広い層の人々に対して、資産運用を身近にしていかなければいけない」と強調した。

 

 

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