「ジェンダー・ダイバーシティが重要」が９７％＝資産運用業界の競争力向上で－ＡＭＷＦ調べ

2024年03月11日 08時30分

（出所）ＡＭＷＦ（クリックで表示）

　資産運用業界における女性活躍推進に向けて業界横断で取り組むネットワーク「Asset Management Women’s Forum（ＡＭＷＦ）」は、３月８日の国際女性デーを前に２月をＡＭＷＦ月間と位置付け、ジェンダー・ダイバーシティについて多様な角度から考えるイベントを開催した。今回で第３回目になる。

　初の試みとして、イベント参加者にアンケート調査を行い、「資産運用業界の競争力を高める上で、ジェンダー・ダイバーシティが重要と考えるか」を尋ねたところ、「非常にそう思う（８８．９％）」と「少しそう思う（７．８％）」を合わせて９６．７％が、「重要だ」と回答した。調査は、イベント参加者３２１人に実施し１８０人から回答を得た。

（出所）ＡＭＷＦ（クリックで表示）

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　その理由は、男性や経営層では「女性を含む多様な視点はイノベーション創出や競争力向上につながる」がトップだった。また、女性や経営層以外では「優秀な人材確保のためには働きやすく多様性のある組織が求められる」だった。

　この調査で「女性がより働きやすく能力を十分に発揮して活躍できる職場に求めること」を三つ選んでもらったところ、男女ともトップは「柔軟な働き方を可能にする環境や制度」だった。２位は「メンター制度やロールモデルの育成」。

　ただ、まだ多くの組織が取り入れていない「管理職の評価に女性育成に関する指標を含める」については、女性では３位（52％）だったのに対して、男性で６位（26％）だった。

　さらに、「女性がより働きやすく能力を十分に発揮して活躍できる職場」について、「求めること」と「職場が取り入れていること」を比較すると、ギャップが見られた。多くの企業が実施する「男女育児休暇制度の活用推進」よりも、「メンター制度やロールモデルの育成」や「管理職の評価に女性育成に関する指標を含めること」を求める声が上回った。

２０２３年度ＡＭＷＦバイスチェアを務めるフィデリティ投信 クライアントサポート副本部長兼サステナビリティビジネス推進部長の野々垣智夏氏は、この調査結果について「ジェンダー・ダイバーシティの重要性は広く認知されており、女性活躍を支える制度は整いつつあるが、指標を導入し、多様な働き方を後押しする必要がある」と分析した。

その上で「現場の期待と実態、また男女の視点の乖離などを、いかに解消して行けるか、引き続きＡＭＷＦは経営・管理層への働きかけなども通じて、変革を応援していきたいと思う」とコメントした。

◆三つの視点でイベント開催

　今年のイベントでは、「働く女性」「人材育成を担う管理職」「ジェンダー・ダイバーシティ推進責任者」の三つの視点で、性別にとらわれないキャリア形成や業界横断的なネットワーク構築を目的としたセミナーやワークショップが開催された。

　２０２３年度ＡＭＷＦチェアを務める野村アセットマネジメント アドバイザリー運用部長の中村麻里氏は「今年は、全てのイベントに対面での参加を可能としたことで、講演聴講後はリアルにディスカッションをする機会を設けることができた。皆さまの印象に残ったことを持ち帰って、小さなことでも意識や行動の変化に結びついていたらうれしく思う」とコメントした。

さらに「今後はより多くの方にご参加いただけるよう、ＡＭＷＦの活動の輪を広げていきたいと考えている。政府が資産運用立国を掲げ資産運用業界が注目される中、女性をはじめ、多様なバックグラウンドを持つ方々に向けた情報発信に力を入れ、更なるＡＭＷＦの認知度の向上を目指していく」と述べた。

◆ＡＭＷＦ

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ＡＭＷＦは、資産運用業における財産は人材であり、競争力とイノベーションの源泉との考えに基づき、多様性を尊重し生かす視点での新しい価値観の創出、中でも女性社員の活躍は、資産運用業界全体の持続的成長に欠かせないものであるという理念のもとに２０２２年春に発足した。

　現在は発足メンバー４社の代表がボードメンバーとして、本フォーラム全体の運営管理や、各ワーキンググループが行う活動の支援、会員の承認や定期ミーティングの招集に係る事務手続き等を行っている。

【ニュースリリース】第3回 Asset Management Women’s Forum 資産運用会社15社が国際女性デー特別イベントを開催 - ジェンダー・ダイバーシティに関する調査を実施
https://www.toushin.or.jp/topics/2024/22789