運用力の高度化を推進=国民の金融リテラシー向上に注力-大和アセットマネジメントの佐野社長
2026年10月08日 08時00分

大和アセットマネジメントの佐野径社長は、時事通信社のインタビューに応じ、経営課題について「運用力の高度化を推進し、国民の金融リテラシーの向上に努めたい」と述べた。主なやりとりは以下の通り。
◆ここからが本当のスタート
-投信市場の現状は
佐野社長 新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資家の裾野が広がり、投資が定着してきた。今後、運用会社に望まれることは運用力の高度化であり、国民の金融リテラシーの向上に努め、国民の資産を安定に成長資金に振り向けることだ。
多くの人が、証券口座を開き、投資に慣れ、成功体験を積んだ。また、投資をしながら歴史的な出来事に立ち会い、大きな相場変動を体験した。今後は、これまでの実体験を踏まえて、「どのように資産運用するのが良いか」を、投資家が自ら考える時期になるだろう。ここからが本当のスタートだ。
◆ゴールに向けて、適切な商品と長期間のサポートを提供
-サービス提供の考え方は
佐野社長 目標を立てて資産運用するゴールベースや、それぞれの投資家に適切な商品を提供するプロダクトガバナンスは、深化している。お客さまごとのゴールだけでなく、お金ごとにゴールを決め、それぞれに最適なポートフォリオを設定して、運用を行うようになるだろう。こうした文化を、証券会社や地域金融機関とともに、国民全体に広げていきたい。
長期投資にあたっては、運用商品の選択肢が豊富であることに加えて、ライフイベントに対応しながら、長期にわたってお客さまに伴走し、資産運用をサポートすることが必要になる。大手証券系の運用会社として、その一翼を担っていきたい。
◆金利商品を土台に運用プランの設計が可能に
-今後の商品展開は
佐野社長 資産運用の本来の基本は、国債など無リスク資産の金利を土台にすることだ。そのうえで、それを上回るリターンを得るためにどのようなリスクを取るかを設計する。日本には長らく、その土台となる金利がなかった。
ゼロ金利の時代は、リスクを抑えたい投資家ほど国債の比率が高くなる。しかし、その金利がほぼゼロだったため、分散にかかるコストを賄えなかった。設計図は理論上正しくても、想定通りの性能が出ない時期が長く続いた。
ここにきて10年国債の金利が3%程度まで上昇し、ようやく正常な状態に戻った。2.5~3%程度は無リスク資産で確保し、それを上回る部分は値動きの異なる資産を組み合わせて分散する。こうした分散の効果を実感していただける環境になった。教科書通りの「分散の設計図」を提供できるかが、これから問われる。
◆家族でお金について話し合う機会に
-「こどもNISA」への期待は
佐野社長 子どもをキーワードにして、資産づくりを始めるきっかけとなることを期待している。家族でゴールについて考えたり、話し合ったりする機会になればと思う。学校でも金融経済教育の機会が増えており、次の時代を担う若者たちの金融リテラシーの育成にも役立つだろう。
◆カードゲーム「みんなのマネプラ!」を独自開発
-金融経済教育の取り組みは
佐野社長 当社は2024年4月に、「資産運用普及センター」を設立した。金融経済教育の提供と資産形成に関するリサーチが活動の柱だ。
金融経済教育については、当社の社員が学校で授業を行っているほか、教員向けのセミナーを開催し、授業で使用する教材や資料を提供している。さらに、ライフイベントと資産運用を楽しく学べるカードゲーム「みんなのマネプラ!」を、独自に開発した。公益財団法人消費者教育支援センター主催の「消費者教育教材資料表彰2026」で優秀賞を受賞し、全国の学校で活用されている。
リサーチ活動では、投資に関する情報・データをまとめた「資産形成白書」を毎年、刊行している。
◆オルタナティブを内製化、新たな価値創造を目指す
-運用力強化の取り組みは
佐野社長 当社は、国内有数のアセットオーナーであるかんぽ生命、三井物産と資本業務提携し、子会社の「大和かんぽオルタナティブインベストメンツ」を通じて、オルタナティブ分野に本格参入している。グローバルな視点と専門性を融合させた新しい価値創造を行い、お客さまに従来の枠組みにとらわれない柔軟な運用戦略を提供していく。
アセットオーナーの声を取り入れながら、オルタナティブを内製化できる意義は大きい。投資家に多様なポートフォリオを構築していただくために、欠くべからざるアイテムだ。5月には、当社グループが戦略的業務提携を通じて参画するオープンエンド型航空機ファンドが初回クロージングを完了した。オルタナティブ分野での取り組みはまだまだこれからだが、積極的に人材育成を行っている。
国内外の株式、債券につても運用力を磨いていく。債券分野は、金利が復活したことで本格的な運用が可能になった。国が活性化を掲げる事業債は、強化していく分野だ。さらに、ブロック・チェーン技術を活用したトークン化証券などのデジタルアセットについても、迅速に対応していく。ESG(環境・社会・ガバナンス)投資は、特別なものではなく、通常の運用と一体化してきている。
国は成長分野に投資し、家計資産は投資に向かっている。当社は、投資と成長の好循環を実現するインベストメント・チェーンのエンジン役として、運用力を強化していく。
◆リンゲージメント、企業間の知の共有化を促進
-スチュワードシップ活動は
佐野社長 投資先企業の価値向上を促し、お客さまの中長期的なリターンを拡大するため、スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家の諸原則)に沿った活動を行っている。株主提案を含む議決権行使については、当社自身が投資先企業と行っている、長期を見据えた丁寧なエンゲージメント(建設的な対話)を元に判断している。
さらに当社は、独自に発案した「リンゲージメント®」を実施している。投資先企業に対して、他の企業との議論の場を提供し、知の共有を促すことで、企業価値向上を後押しする活動だ。企業間をつなぐ「リンケージ」と「エンゲージメント」を組み合わせた当社独自の造語だ。
企業に積極的に活用していただき、前向きな情報交換ができている。今年は、Japan Weeks2026に合わせて10月下旬に実施することで、海外投資家や運用会社にもご覧いただき、国内外に広めていきたい。



![オペレーションF[フォース]](https://financial.jiji.com/long_investment/img/opf_banner.jpg)