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資産形成、職場でサポート=証券団体がセミナー

2021年10月25日 10時00分

 日本証券業協会、日本取引所グループ、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の各取引所、投資信託協会が参加する証券知識普及プロジェクトは、10月4日の「証券投資の日」に、「社員の将来をまじめに考える 経営者と担当者のための資産形成セミナー」をオンラインで開催した。各団体の講師が、職場で利用できる投資優遇制度や資産運用の基本を説明した。

<YouTubeチャンネル>

当日のアーカイブ動画を下記QRコードよりご覧いただけます
e-104.net(日本証券業協会 公式YouTubeチャンネル)
日本証券業協会 公式YouTubeチャンネル


◆職場の制度で、資産形成を始めよう

「職場」の制度を活用しよう!(クリックで表示)

 第1部では、東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 JPXアカデミー講師の森元憲介氏と山本郁氏が、「いざ!実践。職場で『マネ部』(まなぶ)!」をテーマに、資産形成の前提となる基礎知識を身につけることの重要性を解説した。

 はじめに、「預金」「株式」「投資信託・ETF(上場投資信託)」「債券」などさまざまな金融商品を例示。安全性、収益性、流動性、分かりやすさの観点で、それぞれにメリットとデメリットがあることを紹介した。

 また、家計金融資産の構成比を見ると、日本では現預金が半分を占め、株式や投資信託は10%台にとどまる。一方で、米国では株式・投資信託が5割強を占める。1人当たりの金融資産の大きさで、日本は米国に大きな差をつけられている。

 その上で、現預金で資産を保有することにも、リスクがあることを示した。インフレや円安による価値の低下についていけない可能性がある。長引く超低金利で定期預金に預けてもほとんど金利がつかない。

 資産形成に当たっては、いったん貯蓄したお金を投資に振り替えることから、職場の制度等を活用して「『労働から投資』を実践してはどうだろうか」(森元氏)と提案し、確定拠出年金や持ち株会などを説明し、東京証券取引所で実施している職域セミナー「出張マネ部」の活用内容について事例紹介を行った。

 最後に、資産形成の基本として、「じっくり長期」「コツコツ積み立て」「バランス良く分散」を紹介。「人生100年時代で、平均寿命と(元気で過ごせる)健康寿命が伸びている。これに合わせて、資産寿命を伸ばしていくことが大切だ」(同)と強調した。


◆投資信託で、少額から分散・積立・長期投資

はじめに…投資信託とは(クリックで表示)

 第2部では、投資信託協会の上野尚美氏と持永太郎氏が「お金の働かせ方改革!投資信託でつみたてがいいさ」をテーマに、投資信託と投資の基本について説明した。

 投資信託とは「投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、その資金を専門家が国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などで運用する商品」だ。運用成績は市場環境などによって変動する。

 販売の窓口は銀行や証券会社、運用を指図するのは運用会社、資金を保管するのは信託銀行と、専門機関が役割を分担し、厳格にかつ効率的に運営されている。仮に各機関が破綻しても、お客さまの資産は保全される。

 投資信託の魅力は、少額から購入できるため、積み立て投資に向いていることだ。積み立て投資であれば1000円程度から始めることができる。また、各投資家の資金を投資信託にまとめ、経済や金融に関する高度な知識を持った運用の専門家が株式や債券等の投資先を選定、分散投資することでリスクを適切に管理してくれる。

 「投資と言うと、日々価格の変化を追っていくイメージを持っている人もいるが、投資信託で積み立て投資をすることによって、仕事や家庭のことで忙しい皆さまでも日々の生活を大切にしながら、お金にも働いてもらうことができる」(上野氏)。

 若い世代ほど、積み立て投資を利用している。「手元に大きなお金がなくとも、少額からできる投資信託の積み立てで、コツコツと投資を始めれば、投資タイミングが分散され、さらにリスクを抑えた資産形成ができる」(同)と紹介した。


◆職場つみたてNISAで、会社満足度を高める

職場つみたてNISAの仕組み(クリックで表示)

 第3部は、日本証券業協会の金融・証券インストラクターの川口由美氏が「職場つみたてNISAのいいトコロ 新たな福利厚生制度で社員にチカラを」をテーマに、制度を解説した。

 『職場つみたてNISA』とは「職場を通じ、NISA制度(少額投資非課税制度)を利用して、事業主が実施する役職員のための福利厚生制度」だ。職場での資産形成の支援は、従業員のお金に関する不安を解消することになり、会社満足度を向上させることができる。

 ポイントは3点ある。一つ目は「給与天引きや口座振替で計画的に積み立てができる」ことだ。最初に積み立てのお金を差し引き、その上で家計をやり繰りすることになるため、「自動的にお金をためる仕組み」が出来上がる。また、毎月一定額を積み立てることで、安いときに多く、高いときに少なく購入する「ドル・コスト平均法」の効果が享受でき、より効率的に資産形成できる。

 二つ目は「NISAによる非課税メリットを活用でき、積み立てたお金は自由に引き出せる」ことだ。「つみたてNISA」であれば、最長20年間、運用益が非課税になる。また、積み立て投資に適した、低コストの投資信託に投資できる。

 三つ目は、「事業主の過度なコスト負担なしに役職員の福利厚生が図れる」ことだ。証券会社等から投資教育のサポートも受けられる。職場つみたてNISAは、企業年金と併用が可能だ。教育費や住宅購入など、現役中のまとまった資金に充当できる。

 当日の講義模様はアーカイブ配信している。興味のある方は下記URLよりアクセスいただくか、「e-104net」と検索を。
https://www.e-104.net/info/20210908091129.html

◆主催者代表あいさつ 日本証券業協会 会長 森田敏夫

日本証券業協会 会長 森田敏夫

 人生100年時代を迎え、個人の自助努力による資産形成が求められている。国民一人一人が、金融・経済の基礎知識に基づき、自律して判断し、意思決定する能力を身につけることが重要だ。証券業界では、 国民の資産形成の促進に努めてきた結果、NISAは徐々に国民の皆さんに浸透し始めている。

 ただ、日本の家計金融資産における株式や投資信託といった投資商品の割合は、諸外国と比較して低水準だ。だからこそ、職場で社員の資産形成をサポートいただくことが、重要である。

 職場での資産形成の支援は、会社に大きなメリットがある。転職サービスの利用者を対象とした調査によると、転職理由として多いのが、給与への不満と将来の不安だ。資産形成を福利厚生に取り入れ、会社が社員に寄り添って資産形成をサポートすることで、社員の不安は安心へと変わり、会社に対する満足度が向上する。

 特に新型コロナウイルス感染症で先を見通すことが難しく、将来に金銭的不安を抱える方が多いと言われる今こそ、職場での資産形成のサポートを検討するチャンスと思われる。

<ご参考URL>

日本証券業協会
「職場つみたてNISA」について
https://www.jsda.or.jp/anshin/oshirase/shokubatsumitate_nisa.html

資産運用について1から学べる「投資の時間」
https://www.jsda.or.jp/jikan/index.html

無料講師派遣のご案内
https://www.jsda.or.jp/jikan/haken/

JSDAmovie
https://www.youtube.com/user/JSDAmovie

はじめての資産運用講座【日本証券業協会主催】
https://www.youtube.com/channel/UCMdIaJg0R2Qxvvh-6c_aJjQ

東京証券取引所
「東証マネ部!」
https://money-bu-jpx.com/

「人生やりなおし体験」
http://jpx-game.com/simulation

「JPXアカデミー」
https://www.youtube.com/channel/UC0JM0gPdVCG3445Jutoha6A

投資信託協会
「投信総合検索ライブラリー」
https://toushin-lib.fwg.ne.jp/FdsWeb/

「投資信託なんでもQ&A気になる100選」
https://www.toushin.or.jp/special/tou...

「投資にかかる税金がゼロに!NISA(ニーサ)の話」
https://www.toushin.or.jp/nisa_conten...


※「証券知識普及プロジェクト」は、日本証券業協会、日本取引所グループ、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所、投資信託協会が参加する共同事業で、公正・中立な立場から長期的・継続的に証券知識の普及・啓発を図ることを目的としております。

 

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