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WEEKLY 2021年8月8日号

雇用改善、FRBによる金融政策正常化のお膳立てに

Good News on Jobs Could Set the Stage for Normal Fed Policy.

資産買い入れを縮小する可能性

7月の雇用統計は大幅な改善を示唆

Elijah Nouvelage/Bloomberg

経済回復に向けた「さらに大きな前進」の具体的な中身は、何だろうか。ざっと100万人の7月の就業者数の増加は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を開始するための基準に見合うようだ。

米労働省が6日に発表した7月の非農業部門就業者数は前月比94万3000人増加し、市場予想の平均である87万人を上回った。労働省は5~6月の就業者数についても、合計11万9000人の上方修正を行った。労働市場に参加し仕事に就く人が増加したという理由で、失業率は0.5ポイント急低下し、5.4%となった。

経済コンサルティング会社マリア・フィオリーニ・ラミレスの米国担当チーフエコノミストであるジョシュア・シャピロ氏は、「確かに就業者数はパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年2月の水準を570万人下回るが、数カ月間の大幅な増加を経てその差は急速に縮小している」と記している。

例によって、統計数値には注意が必要だ。特に7月増加分の4分の1近くは、夏休みの季節調整後で公的教育関連の雇用が22万1000人増加したことを反映している。調整前の就業者数は、90万1000人減少していた。新型コロナの影響を受けた年度の雇用が減少していたため、7月の減少幅は季節要因による足し戻し分を下回った。

しかし、雇用改善の力強さを否定する見方はない。雇用統計の6種類の失業率のうち、「U6失業率」として知られる最も広義の「不完全雇用率」は0.4%ポイント低下して9.2%となった。経済調査会社TLRオン・ザ・エコノミーのメモによれば、この水準は2017年以降で最も低く、4週間以上求職活動をしていない求職意欲喪失者やフルタイム勤務を希望するパートタイム労働者が減少した結果である。

雇用よりも重要なインフレ懸念

しかし、雇用統計調査は、直近の新型コロナウイルス感染者数が増加する直前に行われている。バンク・オブ・アメリカ<BAC>とJPモルガン・チェース<JPM>のデビットカードやクレジットカードが示す消費者の支出は、ここ数日軟調に推移している。遅れていた地域でワクチン接種が増加しているため、デルタ変異株の悪影響は軽減されるはずだが、効果が表れるには数週間が必要だ。

雇用以上に問題なのはインフレであり、消費者の最大の懸念になっている。ミシガン大学消費者信頼感指数は6月の85.5から7月は81.2に低下し、2月以降で最も低くなったが、一因は物価上昇懸念である。

民主党のジョー・マンチン上院議員はFRBのパウエル議長に書簡を送り、月間1200億ドルの資産買い入れに対する懸念を表明した。しかし、証券会社ストラテガスのダン・クリフトン氏率いるワシントンチームによれば、同議員は新年度3兆5000億ドルの支出案に賛成しようとしており、言い訳を用意しようとしているのかもしれない。

利上げをめぐってもFRB幹部が発言

FRBの債券買い入れ縮小については、先週クリストファー・ウォラー理事も支持を表明したことで勢いが増した。同理事は、「必要であれば、2022年の利上げに備えてFRBは早期かつ迅速に動くべきだ」とCNBCのインタビューで述べた。

加えて、FRBのリチャード・クラリダ副議長も、労働市場が回復を続けインフレ率が2%を上回って推移するなら、金融政策の正常化は2023年初めに始まる可能性があるとしている。同副議長は、資産買い入れの縮小については、次回以降の連邦公開市場委員会(FOMC)で議論が続くだろうと語った。次回以降とした点を考えれば、9月21、22日に予定される次回の会合で、FRBが最終決定に至らない可能性が示唆される。

マーケットウオッチャーの多くは、今月ジャクソンホールで開催される経済政策シンポジウムにおいて、量的緩和の縮小(テーパリング)をめぐってパウエル議長がどのような発言をするかに注目している。

ウォラー理事が迅速な行動を示唆したことについて、クリフトン氏は、「米国債発行額の縮小と同時に、FRBが債券買い入れを絞り始める可能性がある。連邦政府の財政赤字は依然として巨額だが、過去4カ月間に1兆ドル以上縮小した」と記している。FRBは国債の新規発行額に合わせて買い入れ額を見直すだけかもしれないが、市場の懸念を緩和する可能性がある。

 

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