サンプル(過去記事より)
ギャラクティック、NASAと提携で急騰
宇宙旅行以外も
低軌道の商業化進む
宇宙旅行のパイオニア、ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス<SPCE>が22日、米航空宇宙局(NASA)との提携を発表し、投資家を驚かせた。ギャラクティック株のこの日の終値は2.93ドル(15.9%)高の17.39ドル。
株価が上げたのは、NASAとの合意が同社にとって新しいものだからだ。これまで同社は、極超音速の商業飛行の開発や、お金を払ってくれる顧客を「スペース・グライダー」で大気圏(と宇宙)の境界まで連れていく宇宙観光に特化してきた。
今後は、地球低軌道での民間商業活動を促す「地球低軌道(LEO)経済」に、より多くの人が参加できるよう、NASA以外の宇宙飛行士の訓練を行う。ギャラクティックは「民間軌道宇宙飛行士準備計画」を開発し、新世代の民間宇宙旅行者を育成する。
同社の最高経営責任者(CEO)、ジョージ・ホワイトサイズ氏は報道発表で「民間軌道宇宙飛行計画でNASAと組むことを大変うれしく思う。(計画では)われわれの宇宙飛行のプラットフォームを利用するだけでなく、NASAその他の当局に宇宙訓練施設も提供する」と述べた。
宇宙の商業化に向けた新たな動きだ。
景気の影響から隔離
テスラ<TSLA>のCEO、イーロン・マスク氏が率いるスペースXは歴史的偉業を達成した。同社のロケット・宇宙船は5月にNASAの2人の宇宙飛行士を宇宙ステーションに運んだ。これは、NASAが初めて打ち上げた民間製造の有人ロケット・宇宙船で、また、2011年にNASAのスペースシャトルが引退して以来、初の米国からの有人の打ち上げだ。
スペースXはロケット以外も手掛けている。多数の人工衛星を使い高速インターネットサービスを提供するため、「スターリンク」衛星の打ち上げを行っている。
スペースXは公開企業ではないが、ギャラクティックは公開企業だ。同社株は19日の終値ベースでは年初来30%高。S&P500指数やダウ工業株30種平均のリターンを大きく上回る。投資家は新たな宇宙での競争が過熱していることを認識している。
22日の上げで同社株の年初来上昇率は約51%、また過去3カ月では55%になった。
ただ、宇宙関連株すべてが上げているわけではない。例えば、ロケットメーカーのエアロジェット・ロケットダイン・ホールディングス<AJRD>は年初来約10%安。リセッション(景気後退)の影響を回避できていない。
一方で、ギャラクティックのような企業は売り上げについて懸念する必要がない。依然、宇宙旅行の目標に向けて準備中であり、新型コロナウイルスによる景気鈍化の影響からは幾分隔離されているからだ。
現時点ではいい立場にある。