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ダウ反落でも、ナスダックが続伸する理由とは?

The Dow’s 2-Day Winning Streak Is Over. So Why Is the Nasdaq Flying?

IT産業の比率目立つ構成銘柄

ダウは伸び盛りの銘柄欠如

Photograph by Mario Tama/Getty Images

それはあたかも2種類の市場のようだった。6日の株式市場では、ダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は方向感が定まらない一方、ナスダック総合指数は上昇を続けていた。ダウ平均は3日ぶりに反落し0.9%安、S&Pは0.7%安だった。一方のナスダックは0.5%上昇した。

 この違いを説明できるものは何か。それは大手ハイテク株の役割である。アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、インテル<INTC>はダウ構成銘柄の上位3社であり、株価はこの日、いずれも1%程度上昇した。ダウ平均は、動画配信大手ネットフリックス<NFLX>や、米ゲームソフト大手のアクティビジョン・ブリザード<ATVI>など上昇傾向を示す銘柄は含まれていない。

 しかし、ナスダック指数において有利な点は、特定の銘柄部門にある。6日の取引終了時点で、前日比で上昇していたわずか一つの部門、それはハイテク分野であり、ナスダック指数はこの分野の企業に大きく依存している。同指数の構成比率の48%はIT関連、11%は保険医療だ。コミュニケーション・サービスのネットフリックス、アルファベット<GOOGL>、フェイスブック<FB>、消費関連株のアマゾン・ドット・コム<AMZN>は、ナスダック指数の構成銘柄のうち、それぞれ10%強を占めている。

けん引役の行方

一方、ダウ平均株価指数の構成銘柄に占めるハイテクの比率は20%しかなく、一方で、金融株が18%、産業株が12%を占める。これら2部門は6日、それぞれ2.8%、1.3%の下落となった。そして今後の不確定要因は、大手ハイテク株がどれほど長く株式市場を支えることが可能なのか、という点だ。

 ナスダックに上場されている銘柄のうち、(新型コロナウイルス対策にも利用される)熱画像システムの設計・製造を手掛けるフリアーシステムズ<FLIR>の株価は9.6%高となった。決算発表で1株当たり利益が0.42ドルとなったことを受けて買われた。ただし内容はアナリスト予想に沿ったものだった。大幅上昇となった理由は何か。これについて、同社のジム・キャノン最高経営責任者(CEO)は、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が世界にとって、かつてない深刻な問題を突き付けている中で、わが社の製品と技術がこの新型ウイルスの感染拡大を抑える上で重要な役割を演じていることを誇りに思う」と語った。さらに同氏は「その結果、わが社のサーモグラフィーカメラへの需要が続くとみられる」と付け加えた。

 人工透析センターの運営など医療サービスを手掛けるダビータ<DVA>の株価は、決算で1株当たり利益が予想(1.47ドル)を上回る1.83ドルとなったのを受け、4.3%高となった。サン・トラストのアナリスト、デービッド・マクドナルド氏は、「新型コロナウイルス問題が幾分不透明感を生み出しているものの、事業規模や透析事業の持つ重要性などからみて、ダビータは好ましい位置にいると考えている」と指摘した。

 

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