ウォール・ストリート・ジャーナル
バロンズ・ダイジェスト

マーケットニュース

サンプル(過去記事より)

ダウは割安、上昇継続へ

Dow, Inc. Stock Is on the Move—and Should Have a Better 2020

世界の経済成長がカギ

過去3カ月で18%上昇

AFP時事

ダウデュポンの分割で誕生した化学大手ダウ<DOW>の株式は2019年3月に(発行日)取引を開始したが、前半は鉱工業生産の鈍化や米中間の貿易戦争で投資家心理が圧迫され、株価は下落。その後は世界経済の成長加速への期待を背景に、反発した。過去3カ月間の上昇率は約18%。

市場全般に比較して、ダウは割安であり、世界の経済成長が投資家の期待通りである限り、株価は上昇を続けるはずだ。

ダウの最近の上伸は、同社の力の及ぶ範囲を超えたマクロ経済要因によるものだけではない。同社の第3四半期の業績は予想よりかなり良かった。

フィッタリング最高経営責任者(CEO)は発表で、第3四半期の業績は「困難な事業環境に取り組む経営への集中を示した」「包装、ポリウレタン、シリコーン事業で数量を増やした」と強調した。同CEOはコスト削減にも努めている

株価収益率、13倍

ウォール街では、ダウの2020年の1株当たり利益を4.15ドルと予想。これは19年の約3.50ドルを上回るが、ダウデュポンの分割を経ているため、比較は難しい。利益が4ドルを超えると、ダウの株価収益率は約13倍で、市場全般の17~18倍と比べ、割安だ。

ダウの20年の売上高についてウォール街の予想は約437億ドル。19年をわずかに上回るだけだ。ただ、石油化学メーカーの売り上げはそれほど問題ではない。石化セクターで大切なのは、原油や天然ガスなどの原料と、製品との価格差だ。

ダウのバリュエーションが割安にもかかわらず、アナリストらはどう扱うべきかわかっていないようだ。ダウをカバーするアナリストのうち、ダウを「買い」相当と評価するのはわずか36%。ダウ工業株30種平均構成銘柄の「買い」評価の平均55%を大きく下回っている。

RBCのアナリスト、アルン・ビスワナサン氏はダウを「買い」相当と評価し、目標株価を59ドルとしている。12月の調査レポートで、化学品のマージンが今後1年で底を打つと予想。「支出減が、フリーキャッシュフローの改善に寄与する」「ボトルネック解消や更地の拡張のための米メキシコ湾岸での投資は完了した。われわれは、新たに60万トンの生産能力が加わり、2020年に稼働し、利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)を2億~3億5000万ドル押し上げると想定している」と述べた。

ダウの株価は3月の取引開始からは約10%上昇。他の化学株の上昇率をわずかに上回り、ダウ平均とほぼ同じではあるものの、S&P500指数の14%には及ばない。投資家にとっては、まあまあの年だった。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル
バロンズ・ダイジェスト