サンプル(過去記事より)
ラストマイルめぐりフェデックスとUPSに新たな問題
投資家には好機、バロンズは「魅力的」と考える
アマゾン、配送センター間でも自社トラック利用
物流のラストマイル(最後の1マイル)をめぐる競争激化を背景に、大手のフェデックス<FDX>やユナイテッド・パーセル・サービス<UPS>などについて、アナリストらが評価を変更している。ラストマイルの状況変化がもたらした混乱で、株式市場の幾分のボラティリティを受け入れる投資家にとって好機が生まれている。
電子商取引の成長について知らないと、物流をめぐり混乱することになる。アマゾン・ドット・コム<AMZN>は荷物の配送を開始し、投資家は物流産業がいかに変わるか関心を持っている。アマゾンはさらに、自社トラックの利用を配送センター間の配送にも拡大しつつある。
ウォルマート<WMT>など他の小売業者も、一部の物流業務を自社で手掛けるようになっている。ウォルマートはラストマイルにも参入している。
新たな競争を背景に物流業界では幾つか興味のある動きが出ている。フェデックスは料金が気に入らないのを一因に、アマゾンを顧客から外した。アマゾンの支払う料金に疑問を持つのは同社だけではない。ドナルド・トランプ大統領は、アマゾンのせいで、郵政公社の利益が数十億ドル損なわれているとツイートした。
BMOはUPSの評価下げ
ブローカーのBMOによると、ラストマイルは年間3兆ドル超の売り上げのある物流業界のほんの一部。また、フェデックス、UPS、米郵政公社を合わせた年間売上高は年2200億ドルと、世界の10%にも満たない。
ただ、ラストマイルは物流のバリューチェーン(価値連鎖)において利益の出る部分であり、そこでの競争は大手にとっては重要だ。1回の行程でより多くの荷物を配達できれば、より多くの利益が得られる。
ウォール街では、より多くの企業が配送を手掛けたら、利益が低下するかを考えなくてはならない。電子商取引により配送数量が拡大したら、利益が伸びるのか。ウォール街の一部では明らかに懸念している。
BMOのアナリスト、ファディ・チャモーン氏は11日、UPSの評価を「買い」相当から「ホールド」に引き下げた。目標価格は2ドル削減し、123ドルとした。「B2C(企業から消費者)の数量が大きく拡大する見込みであることを考慮すると、米国内事業の利ざやのプラスのトレンドが中期的に継続可能かどうか、確信できない」と調査ノートに書いた。「電子商取引の急増で、小型荷物配送事業の収益性が低下する恐れがある」「既存企業は、企業から企業(B2B)の効率的な配送をベースに巨大なネットワークを構築したが、B2Cの荷物増で、営業利益に強い逆風となる」と述べた。
UBSはフェデックスを「ホールド」に上げ
UBSのアナリスト、トーマス・ワデウィッツ氏はフェデックス株の評価を「売り」相当から「ホールド」に引き上げた。目標価格を132ドルから161ドルにした。一方で「(第2四半期は)循環的な弱さや アマゾンとの契約を失った分を早急に補えないこと、配送がピークとなる時期を前に能力や費用を出すのが難しいこと、サイバーウィークが今年、すべて(第3四半期に)ずれ込む、といった困難に直面している」と書いた。
ただ、株式市場は先を見ており、フェデックスの潜在的な問題は既に株価に織り込まれている。同社株は2020年の予想利益の約12倍で、従来の水準、市場全体の水準を大きく下回っている。
フェデックスとUPSは数十億ドルを代替の難しいネットワークに投じてきた。投資家にとっての疑問は、現在、株価が十分に魅力的であるかどうかだ。
本誌は魅力的と考える。最近、UPSとフェデックスについてポジティブに書いた。