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WEEKLY 2024年12月22日号

不安定な2025年への備え方

How to Prepare Your Portfolio for a Bumpy 2025.

規律あるポートフォリオの適正化を

好調な1年の終わりに高まる不確実性

Michael Nagle/Bloomberg

市場は波乱の年末を迎える可能性があり、不安を引き起こしている。18日には米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを決める一方、2025年の追加利下げについては控えめな見通しを示したことを受け、株式は大きく売られ、債券も打撃を受けた。

現在の問いは、2025年に相場が再び上昇するのか、そしてトランプ次期大統領の政策がその後押しとなるか、それとも妨げになるかである。

多くの投資家は、2期目のトランプ政権は1期目とは異なるものになると予想している。トランプ氏の2期目のアジェンダは、2016年に掲げていた1期目の内容よりも野心的だ。しかし、UMBバンクのエリック・ケリー最高投資責任者(CIO)によると、次期大統領が同じ行動指針に従ったとしても、経済と市場の状況は前回と異なる。

結果として、投資家はここ数年を上回る水準の不確実性に直面している。S&P500指数が年初来23%上昇し、確定拠出年金(401k)の残高は増加したが、この先市場がどこに向かうかは誰にも分からない。

目標に沿った資産の適正配分を

良いニュースは、ポートフォリオを準備するのに未来のことを知る必要はないということだ。投資家が今検討すべき動きは、市場のパフォーマンスを巡るものがほとんどで、誰が大統領になるかはそこまで関係がない。トランプ次期大統領が計画している関税や規制緩和が特定のセクターに与え得る影響に基づいて多少調整を行うことはあるかもしれないが、年末にかけて主に取り組むべきは通常のポートフォリオのメンテナンスである。

市場は民主党政権下でも共和党政権下でも同様のパフォーマンスを示す傾向がある。リタイアメント・リサーチャーによると、1926年から2023年までの期間で、共和党が政権と議会を掌握した場合のS&P500指数の年平均リターンは14.5%、民主党の同リターンは14.0%であった。

臆測で大きな動きを目論むよりも、株式と債券の配分が自分の目標に合っていることを確認しよう。株価の大幅上昇によって、当初想定していたよりも株式への資産配分割合が高くなっている可能性がある。2023年にS&P500指数が24%上昇した後に何も手を加えなかった場合はなおさらだ。

具体的には、S&P500指数の時価総額の3分の1近くに相当するビッグテックに投資し過ぎている可能性がある。いわゆるマグニフィセント・セブンは、過去数年間市場をけん引してきたし、人工知能(AI)が拡大を続ける中、今後もその傾向が続くかもしれない。

そのため、ポジションは保持しつつ、規模の適正化を図ることが妥当だ。例えば、株式の目標比率は6割だが実際の比率は65~70%になっているという場合、値上がりした銘柄の一部を売却し、得られた資金を相対的に人気の低い銘柄に振り向けることを検討しよう(課税対象の証券口座で値上がりした証券を売却すると、キャピタル・ゲイン課税がかかる点に留意する必要はある)。

保有銘柄がすべて大型グロース株なら、小型株の購入を検討しよう。ビラリー・アンド・カンパニーのパートナー兼ポートフォリオマネジャーのラマ・ビラリー氏は、トランプ政権下でのM&A(合併・買収)の増加や規制緩和により、小型株は好転する可能性があると言う。

2025年には規律ある投資行動必要か

債券に資金を振り向けるのも手だ。18日の0.25%を含む利下げにもかかわらず、債券はこのところ低迷してきたが、現在の利回りはより魅力的になっており、予想インフレ率をわずかに上回る収入が得られる。10年物米国債利回りは4.5%まで回復しており、より長期の国債利回りはもう少し高い。

多くの専門家が再来を予想している高いボラティリティーを乗り切るには、バランスの取れたポートフォリオが最善の策だ。8月の一時的な下落を除けば、投資家は18日まで非常にスムーズな1年を過ごした。しかし変動は普通の現象であり、新たな政策や経済の動向に消費者や企業が対応していく中で、ボラティリティーは今後さらに高まる可能性が高い。

納得のいく資産配分を確保していれば、波乱の兆しが見えた途端に慌てて現金化に走る可能性ははるかに低くなるだろう。UMBのケリー氏は、「来年は、規律ある行動が本当に求められる年になるかもしれない」と話す。

 

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