サンプル(過去記事より)
次の1兆ドル企業は
5番手、すぐには現れず
FBは6650億ドル
アルファベット<GOOGL>の時価総額が先週の終値ベースで1兆ドルを上回った。1兆ドルクラブ入りはアップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>に次いで4番目だ。
5番目のメンバーとなる明確な候補はおらず、クラブはしばらくはこの4社だけになりそうだ。米企業の中では次はフェイスブック<FB>だが、時価総額は6650億ドルで、まだまだだ。今は、コンテンツの制限をめぐり非難の対象になっているが、フェイスブックやインスタグラム、ワッツアップのユーザーは月間ベースで世界30億人と、比類がない。
フェイスブックに次いで5000億ドルを上回る米企業はない(国外2社のアリババ<BABA>やテンセント<0700香港>は6000億ドル程度)。
4000億ドル超はバークシャー・ハサウェイ<BRKA>やビザ<VISA>。3000億ドルを上回るのがマスターカード<MA>、ウォルマート<WMT>、ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ>。
時価総額が2000億ドル~3000億ドルの米企業は13社で、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、JPモルガン・チェース<JPM>、ユナイテッドヘルス<UNH>、ホーム・デポ<HD>、インテル<INTC>、エヌビディア<NVDA>、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、ネットフリックス<NFLX>、AT&T<T>、アドビ<ADBE>、ペイパル<PYPL>、テスラ<TSLA>、ウォルト・ディズニー<DIS>だ。
次に1兆ドルを達成するのはどの企業なのか。簡単な答えはない。2000億ドル超の企業の多くは成熟・低成長企業。2、3、4倍に規模を増やす公算は小さそうだ。
「民主党政権」が巨大ハイテク解体したら?
次の1兆ドル企業レースで、本誌予想は以下の通りだ。
テスラ:自動車メーカーとしては既に時価総額では世界最大。イーロン・マスク氏率いる同社は動きの鈍かった業界を根本的に変えた。1兆ドルは現在の5倍だが、それに到達するには、マスク氏が(自動車の)販売数を大きく伸ばすとともに、多分、自動運転車の配車サービスもしくはロボットの荷物配送といった大型の関連事業に進出する見込みがなくてはならない。
ウォルト・ディズニー:現在、多くの問題を抱えている。テーマパークは閉まっており、スポーツも中止。映画製作は先送りされ、従来のテレビは下り坂だ。それでも、莫大な知的財産を保有しており、数十年にわたりこれを利用する才覚を持っている。今でも1938年にでデビューした「白雪姫」は観られている。いずれテーマパークは開園し、スポーツも再開、われわれも映画館に戻るだろう。COVID-19が過去のものになれば、ディズニーは1兆ドルのレースの先頭に立つ可能性がある。
ディズニー/ネットフリックス:ディズニーが急拡大する一つの方法は、世界最大のサブスクリプションベースの動画配信サービス、ネットフリックスと組むことだ。2社の時価総額を単純に合計すると、4000億ドルを超える。
アマゾン・ウェブ・サービス/ユーチューブ/インスタグラム:現在の1兆ドル企業の中に次の1兆ドル企業が隠されている可能性もある。今年秋の選挙で、民主党が大統領だけではなく上下両院を制し、ワシントンが完全に変わった場合、超大型ハイテク企業の解体圧力が増し、構造変化が起きる可能性がある。スピンオフ(分離・独立)候補として有力なのは、クラウドコンピューティングサービス最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)だ。アルファベット傘下のユーチューブやフェイスブックのインスタグラムもだ。
JPモルガン・チェース:著名なジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が率いる、革新の歴史を持つ米最大の投資銀行だが、金融サービス会社の時価総額が1兆ドルに到達するのか。可能性はあるが、合併・買収(M&A)のマジックが必要かもしれない。その他金融サービスの候補はマスターカードとビザだ。
ワイルドカード:医薬品企業はCOVID-19やがん、老化の治療薬開発による株価高騰で、時価総額1兆ドルを達成できるだろうか。そうなるかもしれない。エネルギー市場が変わり、石油会社が入るか。怪しいが、不可能ではない。ほかのインターネット交流サイト(SNS)はどうか。可能性はあるが、時間がかかる気がする。ベンチャーが後ろ盾で現在時価総額が最大の企業は、中国の動画投稿アプリ「TikTok」(ティックトック)を運営するバイトダンスだ。ただ、フェイスブックに追いつけるかどうかは不透明だ。
長期的な銘柄:スペースXはどうだろうか。民間企業のやったことのないような宇宙旅行関連業務を行っている。イーロン・マスク氏率いる同社の目標は火星に人を運ぶことだ。それともテスラがスペースXの買収を決めたらどうだろうか。巨大な輸送関連企業が誕生し、食料品店から宇宙の果てまで連れて行ってくれる。