サンプル(過去記事より)

ニコラ、初の投資判断は「買い」

Nikola Stock Got Its First Rating From Wall Street. It’s a Buy.

カウエンが目標株価25%高に

SPACと統合し、株式公開

Courtesy Nikola

電気・燃料電池トラックメーカーのニコラ<NKLA>について初の投資判断が17日、ウォール街から出された。カウエンのアナリスト、ジェフリー・オズボーン氏はニコラ株を「買い」相当とするとともに、目標株価を16日終値を約25%上回る79ドルに設定した。

このニュースは二つの点で注目に値する。第1に、これまでニコラをカバーしたアナリストはいなかったということ。ニコラは6月3日、特別買収目的会社(SPAC)と統合し、異例の方法で公開企業になった。ウォール街の会社はしばらく待ってから新しい株についてのレポートを出すことが多い。規制当局が時間を置くよう求めることもある。

第2に、ウォール街は概して、新たなグリーン輸送技術に懐疑的であること。電気自動車大手テスラ<TSLA>と中国の同業ニーオ<NIO>をカバーするアナリストのうち、両社の株の投資判断を「買い」としているのは約25%にすぎず、ダウ工業株30種平均の構成銘柄の平均55%を大きく下回っている。

これはバリュエーションと関係があるはずだ。テスラの株価は2021年の予想利益の約85倍。また、ニーオ、ニコラいずれも2021年に利益は見込まれない。

オズボーン氏は、再生可能エネルギーや自動車技術に関連した数十の企業をカバーするが、ニコラのバリュエーションについて懸念はしていない。ただ、テスラについては弱気で「売り」相当の投資判断だ。テスラの目標株価は300ドル。16日の終値は980ドル超だった。

同氏は17日のレポートで「ニコラを興味のある投資チャンスとみている」「一つのトラックのプラットフォームを利用し、二つのパワートレイン(動力源)を用意。そして三つの事業部門で展開する。パワースポーツ、ピックアップ、AV(自動運転車)の選択肢もある」と書いた。

ニコラでは多くのことが進んでいる。オズボーン氏が言及したトラックのプラットフォームはハイウェーの貨物輸送を担う大型車両の類のものだ。パワートレインはバッテリーと水素燃料電池。また、事業部門はバッテリーを動力源とする短距離向け大型トラック、燃料電池を使う長距離大型トラック、そして、水素補給ステーションだ。

同社には、小型トラックのほか、バッテリーを動力源とする別の車輛を提携先の工場で生産する計画もある。

時価総額、フォード超える?

オズボーン氏の評価は大胆なものだ。ニコラがまとまった額の売り上げを計上するのは数年先にもかかわらず、同氏の目標株価だと、ニコラの時価総額はフォード・モーター<F>を上回る。

重要なのは、同氏はニコラの燃料電池トラックを所有・運用するコストがディーゼルエンジンのトラックより低いとみていることだ。車両群を保有する者は、コストに非常に左右されるため、競争上不利になる技術を採用する見込みはない。

カミンズ<CMI>は比較に値する。大型トラック向けディーゼルエンジンの巨大メーカーで、債務を含めた時価総額は約280億ドルだ。これに対し、ニコラは17日時点では230億ドル。

カミンズもグリーン技術に投資している。

オズボーン氏のニコラの目標株価79ドルは、2025年の予想売上高56億ドルの5.5倍に相当する。この倍率に何ら魔法はない。同氏がニコラの今後の発展についてどうみているかを反映するものだからだ。

テスラの株価は売り上げの約6.7倍。株式公開後間もない時期には、2倍未満もあったし、10倍超の時もあった。高成長の新興企業は株価のボラティリティが極めて高くなる傾向がある。

ニコラの株価は17日の取引開始前の段階で3.7%高を付けたが、終値は1.8%高。S&P500指数は高寄りしたものの、0.4%安で終了した。
ニコラ株は公開企業になって以来、約90%上げている。