サンプル(過去記事より)
ボーイングCEO交代、万能薬ではない
長期的課題は「次の次」が処理?
解任は不可避だった
ボーイング<BA>のトップ交代についてウォール街のアナリストらは、これですべてが解決するわけではないとみている。同社が直面する長期的課題は、カルホーン次期最高経営責任者(CEO)ではなく、その次のトップにゆだねられる公算が大きいという。
メリウス・リサーチのアナリスト、カーター・コープランド氏は24日の調査レポートで、ミューレンバーグCEOの解任は不可避だったと指摘。「CEOが交代しただけではすべてを解決できないが、多様な利害関係者のグループと期待を作り上げる上で、新たなアプローチを取ることができる」と分析した。
コープランド氏はボーイングの評価を「買い」相当、目標株価を521ドルとしている。新型旅客機737MAXをめぐる危機が終わった後を基準に評価するのが適切だと考える。株価は24日の取引開始前の段階で0.5 %高の339.38ドル。
エアバスとのシェア争いに注目
バーティカル・リサーチのアナリスト、ロバート・スタラード氏は22日の調査レポートで、カルホーン次期CEOについて「62歳だと、ボーイングでの仕事は比較的短期になる見込みだ」「23日に株価が約3%上げたのには同意できる。次期CEO指名は良いニュースだが、革新的ではない」と書いた。スタラード氏の評価は「買い」で目標株価は400ドル。
ベアードのピーター・アーメント氏は22日の調査リポートで、カルホーン氏のCEO指名は良いニュースであり、航空業界の利害関係者の信頼を一部回復できるとみている。ただ、すべて解決するとは予想していない。「長期的な(市場)シェア低下の問題が依然残っている。これが最大の懸念だ」と書いた。
ボーイングの受注残高に基づくと、エアバス<AIR フランス>のA320ネオは、単通路型ジェット旅客機の市場で58%のシェアを持つ。737MAXも単通路型で、アーメント氏はシェア争いがいかに展開していくか、注目していると述べた。シェアを一因に同氏は弱気派の1人だ。同氏の評価は「ホールド」相当で、目標株価は322ドルと、最近の水準を若干下回る。
第1四半期終盤にも737MAX運航再開か
ボーイングにとって2019年は困難な年だった。737MAXは2度の墜落事故を受けて世界中で運航停止となっている。同社の株価は2度目の墜落以来20%下げている。
ウォール街では737MAXの運航再開は20年第1四半期の終盤か第2四半期初めとの予想が有力。しかし、再開後も、ボーイングの経営や市場シェアをめぐる疑問、さらに乗客が737MAXへの搭乗を望むかといった疑問を払しょくできないだろう。