〔AIによるニュース解析〕脱炭素で石油製品業界の将来は? 広範囲にマイナスの影響
2021年06月10日 13時26分
〔FOMC識者予想〕利上げ、「23年中」に見通し変更へ=米国大和証券モラン氏
米国大和証券の主任エコノミスト、マイケル・モラン氏=来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に公表される最新の金利見通し「ドットプロット」で …
先日まとまった成長戦略の実行計画素案を報じる時事通信のニュース。自動車の脱炭素化促進策が数多く盛り込まれ、電気自動車、燃料電池車に関連する産業には大きな恩恵がありそうだ。一方、脱炭素化が進めば、ガソリンをはじめ石油製品の需要減少が予想される。それに伴い企業業績にはどのような影響が及ぶのか。AI(人工知能)を使って分析した。
「石油製品需要減少」をキーワードにAI解析を実行すると、上場企業560社の業績に何らかの影響が及ぶとの予測が示された。このうち業績悪化につながると指摘されたのは415社、プラスの影響が予想される企業は145社。マイナス要因になる企業が圧倒的に多いとの結果だった。
ガソリンなどの需要減少が打撃になるのは、石油元売り、エネルギーを扱う商社、石油販売店。さらに、石油タンクのメーカーにもダメージがあるほか、タンクの素材であるステンレス鋼の需要も減り、製鉄・製鋼メーカーにとってもマイナス要因になるとのシナリオが提示された。このほか、石油プラントや海上輸送を手掛ける多数の企業も業績悪化が想定される候補に挙がった。
一方、恩恵を受けるのは「石油需要減少→石油価格下落」の影響経路により、原料や燃料のコスト低下で増益が見込まれる企業。化学メーカーのほか、食品、鉄道、海運、バス・タクシーなどだった。
ただ、石油関連企業の中には、ガソリンスタンドに水素ステーションを設置するなど脱炭素への対応を計画する企業も多い。こうした動きをAIが学習すれば、今後の予測が変わってくる可能性がありそうだ。
分析に利用したAIは、フィンテックベンチャーのゼノデータ・ラボが開発した業績予測サービス「ゼノブレイン」。過去の膨大なニュースや企業の決算情報を基に、社会・経済現象が企業業績に与える影響度を数値化している。(了)