〔AIによるニュース解析〕団塊世代が後期高齢者に、「2025年問題」企業への影響は
2021年05月17日 13時23分
菅首相:財政健全化「旗降ろさず」=コロナ禍で急速悪化―諮問会議
政府は26日の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)で、新型コロナウイルス感染拡大に伴う歳出拡大と税収減で急速に悪化した財政の健全化に向けた議 …
経済財政諮問会議が財政健全化に向けた議論を開始したことを報じる時事通信のニュース。新型コロナウイルスの感染拡大で、巨額の対策費支出や税収減少により日本の財政は急速に悪化している。今後も高齢化の進展で社会保障費の増加が見込まれている。高齢化は財政への影響だけでなく、企業経営にも影響を与える。AI(人工知能)を活用して「高齢者人口増加」からどのようなシナリオが導かれるかを分析した。
今後の日本社会の重い課題として、戦後の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた団塊世代がすべて75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」が指摘されている。年金や介護・医療など社会保障費が大幅に増えることが確実だ。財政再建には深刻な問題となるが、企業経営に与える影響を見ると、業績拡大要因として作用するシナリオは非常に多い。
プラス要因の主なものは、高齢者向け商品・サービスの需要増加。AIが示した売り上げ増加が予想される商品は、医薬品、健康食品、電動アシスト自転車、おむつなど多数に上る。介護サービスや老人ホーム、貨物宅配の拡大も見込まれ、これらに関連する企業の増収・増益につながりそうだ。
一方、AIが需要減少を想定したのは、ネット利用、パソコン、化粧品、映画館、自動車・中古車、海外旅行などだった。今後はシニア世代でもパソコンやネットの利用者増加も予想されるが、AI予測では減少の見込みが示された。
プラスとマイナスの両方の要因になりそうなシナリオとして「コンパクトシティ推進」があった。高齢化の進展に対応するため、各地域の中心部に公共施設や店舗、病院などを集約し、マイカーに依存せず徒歩や公共交通機関で主要施設間を移動できるコンパクトシティーの整備が全国各地で進められている。こうした動きによって企業の業績拡大要因になると期待できるのは、マンションや商業施設、医療福祉施設の建設需要増加、自転車シェアサービスの拡大。半面、戸建て住宅の需要は減少するとの予測が示された。
分析に利用したAIは、フィンテックベンチャーのゼノデータ・ラボが開発した業績予測サービス「ゼノブレイン」。過去の膨大なニュースや企業の決算情報を基に、社会・経済現象が企業業績に与える影響度を数値化している。(了)