〔AIによるニュース解析〕米国の最低賃金が上がると、自動化関連の日本企業にも恩恵
2021年03月16日 13時29分
米、200兆円コロナ対策成立=バイデン大統領「中間層に戦う機会」
バイデン米大統領は11日、新型コロナウイルス危機に対応する1兆9000億ドル(約200兆円)規模の追加経済対策法案に署名、同法が成立した。1 …
新型コロナウイルス危機に対応する米国の経済対策が成立したことを報じる時事通信のニュース。3回目の現金給付が実施されるが、バイデン大統領が意欲を示していた最低賃金の引き上げは見送られた。今後、最低賃金が引き上げられると、日本企業にはどのような影響があるのか。AI(人工知能)で予測してみた。
賃金上昇からまず浮かぶのは、消費拡大と物価や金利の上昇だ。実際、米国では景気回復期待から長期金利が急激に上昇し、株式市場も一時的に大きく下落した。
しかし、AIが「米最低賃金上昇」というトピックから導き出したシナリオは、金利上昇、消費拡大などではなく、「無人化」「自動化」の進展を想定するものだった。具体的には「セルフレジ需要の増加」と「工場自動化投資の進展」。主にこの2つの経路から、50社程度の日本企業の業績向上要因になるとの分析結果が出た。
セルフレジの関連では、ICカードリーダー、バーコードリーダー、画像センシング、モバイル決済などを手掛ける10社超の電機メーカーにとって増収要因になると指摘。工場自動化については、30社超とさらに多くの企業が恩恵を受けると予測した。ファクトリーオートメーション、ロボット、物流業務を効率化するマテハン機器、DRAMやフラッシュメモリーなどの半導体の需要が高まり、こうした製品に関係するメーカーの増収要因になるとのシナリオが示された。
バイデン政権は、連邦最低賃金を現在の時給7.25ドルから2025年までに15ドルへ段階的に上げる計画。この政策が実現すると人件費は2倍以上に膨らむ。無人化、自動化関連企業は今後も株式市場の注目を集めそうだ。
分析に利用したAIは、フィンテックベンチャーのゼノデータ・ラボが開発した業績予測サービス「ゼノブレイン」。過去の膨大なニュースや企業の決算情報を基に、社会・経済現象が企業業績に与える影響度を数値化している。(了)