楽天証券とIFA、「NISAマイスター®」を拡充=NISA2年目、投資家デビューを後押し、アフターフォローで伴走
2025年06月20日 08時00分

楽天証券とIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)は、少額投資非課税制度(NISA)を活用したライフプランを提案し、その実現をサポートするアドバイザー「NISAマイスター®」を展開している。
楽天証券は、IFAに商品やシステム基盤などを提供するプラットフォーマーだ。NISAにちなんで2月13日を挟んだ週を「NISAセミナーWEEK」と位置づけ、対面とオンラインで「NISAマイスター®」によるセミナーを開催したり、新たにバッジを作って「NISAマイスター®」をアピールしたりして、お客さまとの接点の拡大を図っている。
IFA法人リーファス(本社東京)社長で「NISAマイスター®」の西崎努氏と、楽天証券IFA事業部部長の川勝龍太郎氏に話を聞いた。
◆資産形成層に加え、50代・60代もNISAに関心
-NISAを利用するお客さまは
西崎社長 資産形成層である現役世代の利用が中心だが、50代や60代の方もNISAに高い関心を持っている。退職を期にNISAを利用して運用を始める人も多い。また、20歳を超えたお子さまにNISAで積立投資を勧めたいと、ご相談をいただくこともある。
新NISAでは、非課税保有限度額(総枠)が簿価ベースで1人当たり1800万円に拡大されたので、退職前後世代の人でもNISAの利用を検討する人が増えている。利用方法を見ると、高齢の方でも「つみたて投資枠」を使って投資信託を購入する人が増えている印象を持っている。
30代から40代のお客さまは、結婚や住宅購入などのイベントに合わせてライフプランを見直し、NISAの利用を検討する人が多い。
株式や投資信託を知らなくても、「NISAは聞いたことがある」という人は多く、「NISAって何」「まず話を聞いてみたい」という声を多くいただく。NISAをきっかけに資産運用を始める人が増えている。
◆家計見直しで余裕資金を探す、ライフプランを立てる
-コンサルティングの進め方は。
西崎社長 資産形成層のお客さまについては、まず家計設計を行って無駄の見直しを行い、どのくらい余裕資金があるかを検討する。年齢が若い人ほど、将来に向けてやりたいことはさまざまで、いろいろな選択肢があるので、お客さまのお話をうかがいながら、ライフプランをまとめている。
具体的には、「どのぐらいの金額で資産形成すると無理なく継続できるか」「場合によっては何年後に解約する可能性があるのか」「万が一の場合の保障についてはどう考えるのか」-といったことをイメージしながら、プランを作っていく。家計、保険、資産運用をつなげて、全体をトータルにコンサルティングすることが、当たり前になってきている。
◆現金化しやすく、手間のかからない運用手段

一方、ある程度、資産を保有している50~60代のお客さまは、家族構成によって、家計の姿もさまざまだ。コンサルティングに当たっては、老後のライフイベント費用や介護費用などをきちんと洗い出すことが重要になる。
私は、起業した後、IFAとして活動する傍らに介護職の資格を取得し、訪問看護ステーションを経営したことがある。ご本人やご家族に介護や看護が必要になると、そのための手間もお金も必要になる。その分、資産運用に手間をかけにくくなるし、場合によってはそれどころではない。現金や現金化しやすい資産を保有していることが大切になる。
その点で、NISAは優れた制度だ。投資信託を活用することで運用をまかせることができるし、利益も非課税ですむ。資金が必要になれば、窓口にいかずともオンライン上で資産の一部を解約し、銀行口座にお金を振り込んでもらえる。新しいNISAは、無期限化されたことでロールオーバーの手間もなくなり、管理もしやすい制度になった。
高齢のお客さまからは、贈与や相続、遺言について、ご相談もいただくことがある。そうした場合は、税理士や弁護士など、それぞれの分野の専門家と連携して対応している。
◆NISA、分かりやすいイメージが普及=「長期投資」「積立投資」
-4月の相場急落時のお客さまの様子は
西崎社長 当社の場合、NISAを利用するお客さまは、なぜ長期積立投資をするのかを理解して投資をいる人が多いので、それほど不安に思われなかったようだ。ただ、「何が起きているのか」というお問い合わせはいただいたので、「なぜ株価が下落したか」「なぜ円高に振れたか」について、ご説明した。
当社では、積み立て投資を始める前に、中長期での資産形成を目指していることや、相場は右肩上がりではなく不定期に調整すること、下落局面は相対的に安い価格で資産を購入できること-などを伝えているので、お客さまは慌てることなく、積み立て投資を継続している。
目先の相場を読んで売買するという投資スタイルもあるだろうが、あえて投資に時間や労力をかけず、淡々と機械的に積立投資を実行し、中長期に資産形成しつつ、利益も非課税で手残りが多くできることが、NISAで積立投資をする魅力だと思う。
NISAについては「『長期投資』『積立投資』の制度だ」というイメージが普及している。そうした目線で行動するお客さまが多いので、相場変動に際しても、比較的冷静に対応していただけていると思う。もちろん成長投資枠でより柔軟な投資をしている人もいる。
◆インフレで資産運用の問い合わせ、預金以外の選択肢にも注目
-インフレの影響は
西崎社長 インフレを意識するお客さまが増えている。円安の影響を含めて、2%程度のインフレが定着してきた。インフレ対策で資産運用をしたいという問い合わせも増加している。
お金の置き場所が、預金以外にもいろいろあることに、多くの方が気づき始めている。NISAを通じて投資信託や株式を購入したり、金(ゴールド)の価格上昇がニュースになったり、さまざまな投資商品に触れる機会が増えているためだ。
◆投資家デューの第1歩を後押し、アフターフォローをしっかり
-アドバイザーとして大切にしていることは
西崎社長 多くのお客さまは「資産運用が大切なことは分かっているが、日常生活や仕事も大切であり、資産運用に大きな労力を割くことは難しい」と考えているのではないか。
私たちアドバイザーが、資産運用を分かりやすく説明することで、大きな労力をかけることなく資産運用を理解していただき、その第1歩を踏み出すお手伝いをすることは、とても大切だと思っている。
また、投資をスタートした後の「アフターフォロー」がとても重要だと考えている。家計管理やライフプランの話は、身近な人にはしにくいものだ。私たちは「いい距離感のある隣人」でありたいと思う。「近すぎず、遠すぎず、他の人には言えないことも相談できる伴走者」として、頼りにしていただきたい。
◆「生涯の資産パートナー」を目指す
-リーファスの設立の想いは
西崎社長 当社の社名は、個人向けの金融サービス「リテール(Retail)」と、ファイナンシャル・アドバイザー(Financial Advisor)を組み合わせて、リーファス(ReFAs)とした。
証券会社に勤務する中で、自分がお客さまにお伝えしたい資産運用の在り方と、証券会社が提供する金融サービスとの間にズレを感じるようになり、目指すサービスを提供するために独立した。
当社の理念は、お客さまの人生に寄り添う「生涯の資産パートナー」だ。金融サービスは継続性が大切だ。証券会社の社員は、その多くが転勤があるため、お客さまとのお付き合いが途切れてしまう。IFAであれば、提案した当初の考えからその後の経緯まで、しっかり記録しておくことで、アドバイスの内容が深くなっていく。「お金に関する生涯の伴走者」として、お客さまに喜んでいただけるアドバイザーでありたいと考えている。
私は、こうした思いを込めて、楽天証券のオウンドメディア「トウシル」で「やってはいけない資産形成」などをテーマに、7~8年にわたって記事を連載させていただいている。
(出所)楽天証券
◆1世帯1億円の資産形成が視野に=川勝楽天証券IFA事業部長
川勝部長 「NISAマイスター®」は、お客さまのファイナンシャル・ウェルビーイングの実現をお手伝いすることを目指して、創設した。
新NISAは制度が恒久化され、非課税保有限度額(総枠)は簿価ベースで1人当たり1800万円に拡大された。標準的な世帯人数を4人と考えると、運用益を含めて1世帯1億円の資産形成が実現する可能性が高まった。
より多くのお客さまに、「NISAマイスター®」をご利用いただけるように、さらに普及に努めていきたいと考えている。