キャピタル、立教大など4大学で出張講義=「新入社員に老後に向けての資産形成を始めてもらうための法律案」でコンテスト
2025年06月16日 07時00分

米系運用会社のキャピタル・インターナショナル(本社東京、小泉徹也社長)は、立教大、北海道大、名古屋大、岡山大の4大学の法学部で「老後のお金」の出張講義を行い、「新入社員に老後に向けての資産形成を始めてもらうための法律案」のコンテストを実施する。
この日は立教大で、厚生労働省社会保障審議会企業年金・個人年金部会部会長の森戸英幸慶応義塾大学法科大学院教授が「従業員の老後資産形成と企業のサポート」をテーマに、小泉社長が「個人の資産形成と資産運用会社の役割」をテーマに、それぞれ講義を行った。
◆老後のお金、財源は「公助・共助・自助」-森戸教授
森戸教授は、「老後のお金」の財源について「公助・共助・自助」を紹介した。公助は、公的年金。共助は、サラリーマンの場合、企業年金や退職金。自助は、個人で行う貯蓄や投資だ。
公的年金は、賦課方式で運営されており、「世代間の助け合い」の制度だ。少子高齢化で現役世代の人口が減少する中で、『公助』の財源には限界があり、『共助』や『自助』の重要性が高まっている。
◆企業型確定拠出年金(DC)や確定給付企業年金(DB)
サラリーマンの「共助」には、企業型確定拠出年金(企業型DC)や確定給付企業年金(DB)がある。企業型DCは「従業員個人ごとに設定された『アカウント』に、企業が毎月一定額の掛け金を拠出。従業員は運用方法を自ら決定する」(森戸教授)。
運用結果に対する責任は従業員が負うため、企業は従業員が適切に運用指図を行えるように「投資教育」を提供することが努力義務とされている。
また、企業は従業員の資産形成を促進するため、キャリア教育や退職準備教育の中に資産形成に関する情報を盛り込んだり、従業員の掛け金に会社の拠出金を上乗せする「iDeCoプラス」を実施したりしている。
企業は、こうした資産形成により、退職後の生活に対する不安を低減して労働意欲を高めてもらうことに加えて、「従業員エンゲージメント(愛社精神的なもの)」の向上や、自律的に行動する人材の育成、などを目指している。
◆個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)
一方、国民の「自助」の制度には、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や少額投資非課税制度(NISA)がある。「個人が任意で行うものだが、政府は運用益を非課税になるなどの税制上の優遇措置を付与して、活用を促している」(森戸教授)。
政府は、公的年金を補完する老後資金の確保に加えて、「ファイナンシャル・ウェルビーイング(経済的な観点から一人ひとりが多様な幸せを実現し、安心感を得られる状態)」や「成長と配分の好循環(家計金融資産の半分を占める現預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されること)」の実現を目指して、国民に資産形成を奨励している。
◆運用会社の社会的意義、「投資家の資金を集め、企業の持続的な成長資金として供給」-小泉社長

キャピタル・グループは「投資の成功で人々の人生をより豊かにする」ことをミッションに掲げ、世界屈指のアクティブ運用会社として、約413兆円(2024年12月末)の資産を運用している。このうち約6割を、確定拠出年金などの長期の資産形成を目的とした非課税投資制度からの資金が占めている。
小泉社長は、資産運用会社の役割について「投資家からお預かりした資金を、企業や国などが発行する株式や債券で運用し、その収益を投資家に還元すること」と紹介した。具体的には、「投資信託」を使って、多くの投資家の資金をまとめ、運用のプロがさまざまな対象に分散投資している。
さらに、資産運用会社の社会的意義について「投資家から集めた資金を、企業に対して長期的に資金供給し、企業の持続的な成長や産業の発展に貢献している」ことを挙げた。
◆資産運用のポイント、「成長資産」に「長期継続投資」-小泉社長
小泉社長は、資産運用のポイントとして、①成長する資産に投資する ②長期的・継続的に投資する-の2点を指摘した。その上で、「短期で見るとマーケットは調整することがあるが、長期で見ると右肩上がりに成長してきた」(小泉社長)と述べた。
◆無理のない金額で「積立投資」を生活の一部にする-小泉社長
さらに、投資のアドバイスとして「投資は『始めること』が、一番難しい。1日100円でもいいから、無理のない金額でずっと続けることが大切だ」と指摘した。
「どんなにお金持ちになっても買えないものが『時間』だ。若い人には将来にわたって長い時間がある。これを活かして投資を始める。NISAやDCを利用して積立投資を設定すれば、投資を生活の一部にすることができる」(小泉社長)と話した。