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低成長で不確実な市場に対応する運用戦略=インカム・バリュー・柔軟性を重視-アムンディ

2024年01月26日 08時15分

中島範明副部長

 アムンディ・ジャパンは「金融市場の潮目の変化に対応する『インカム・オポチュニティ戦略』」をテーマに勉強会を開催した。2024年は、先進国の成長率が鈍化する見通しで、米大統領選挙や地政学リスクなど不確実な要素も多い。

 インベストメント・ソリューション部の中島範明副部長は、「伝統的なアセットクラスでは十分なリターンを望みにくいが、配当や利息などのインカムを生む資産で、割安な水準にあるアセットに投資妙味があるのではないか」と分析、こうしたアセットを掘り起こし、柔軟に投資する運用戦略を説明した。主なポイントは以下の通り。

◆巨大IT株のウエイトが過去最高水準

-2024年の市場環境は。

中島氏 先進国の成長率が低下し、インフレが鈍化するだろう。こうした中、欧米の中央銀行は、利下げに転じると予想されている。米国の株価指数は昨年、巨大IT企業を中心に大幅に上昇し、割高な状況にある。

 米国の代表的な株価指数である「S&P500」を見ると、上位5銘柄が時価総額に占める割合は25%程度と過去最高水準に上昇しており、巨大IT企業の株価に左右されやすくなっている。こうした環境下では、アクティブ運用で銘柄を選択した方が、投資機会をうまく捉えることができると考えている。

 また、ロシアとウクライナ、イスラエルとハマス間での戦争が継続するなど地政学リスクは高く、11月には米大統領選が予定されるなど不確実な要素も多い。投資にあたっては慎重な運用戦略が求められるだろう。

◆マイクロ・アセットクラス

-収益の機会はどこにあるか。

中島氏 先進国の株式や債券などの伝統的な広いアセットクラスでは、十分なリターンを上げにくいだろう。円高リスクもある中、為替ヘッジコストは上昇しているため、日本の投資家にとって厳しい投資環境が見込まれる。

 ただ、こうした中でも、細分化してマイクロ・アセットクラスで探すと、割安に放置されているとともに、配当や利息といったインカム収入が期待でき資産があり、それらに機動的に投資する「インカム・オポチュニティ戦略」であれば、魅力的な利回りを長期的に追求することが可能だと考えている。

 投資するアセットクラスとしては、例えば、脱炭素で成長が見込まれる欧州のエネルギー株式や、金利の復活で収益の改善が期待される日本の金融株、一部の新興国の国債、バンクローン、エネルギー・インフラ関連株式の米国MLP、世界の不動産株やREIT(不動産投資信託)などを挙げることができるだろう。

◆「インカム・バリュー・柔軟性」を重視

-インカム・オポチュニティ戦略とは。

中島氏 分散投資とダイナミックな資産配分を組み合わせることで、長期にわたってインカムと適度なキャピタルゲインの両方を追求する戦略だ。第1目標として4%以上程度(ドルベース)の高水準のインカムの獲得を目指している。

魅力的なバリュエーションで取引されているインカムを生む資産にフォーカスし、特定のスタイルボックスに制約されることなく、柔軟で機動的な運用を追求する。投資サイクルを通じて、3~5年程度で投資目標の実現を目指す。

 この戦略は、2012年に運用を開始した。設定来のリターン(報酬控除前)は年率7.9%となっており、長期的に目標を達成してきた。また、設定来のリスクは同8.6%で、リターンをリスクで割った運用効率は0.91%と、効率的な運用を実現している。

◆リスク管理は、合成ベンチマークを参照

-リスク管理は。

中島氏 リスク管理の指標として、合成ベンチマークを導入している。65%の債券(ブルームバーグ米国債券指数)と35%の株式(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)を組み合わせたもので、この指数に対して3~6%のトラッキングエラー(ポートフォリオとベンチマークの乖離)の範囲に収めることを目指している。このベンチマークを参照し、中程度のリスクのマルチアセットの運用戦略と同じようなリスク・プロファイルになっているかを確認している。

 

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