AMOne、新たな単位型投信を設定へ=インフレに対応、期間5年、元本確保を目指す
2022年08月10日 09時00分
アセットマネジメントOneは、新たな単位型投信「ゴールドマン・サックス社債/マクロアロケーター戦略ファンド2022-09」を9月9日に設定する。ゴールドマン・サックス社債に投資し、元本確保を目指す。インフレを念頭に、社債の実績連動クーポンの連動対象指数にコモディティ(商品)を加えた。また、運用期間を5年に短縮し、分配方針を見直した。
同社は、元本確保と国際分散投資の両立を目指す「ゴールドマン・サックス社債/国際分散投資戦略ファンド(愛称:プライムOne)」を2018年から運用しており、総本数は24本、総残高は8月4日時点で2800億円超と、大ヒットシリーズになっている。新ファンドは、「プライムOne」に寄せられたお客さまの声を反映し、運用内容を見直した。
投資信託営業本部兼商品本部シニアエグゼクティブの浜田好浩氏に、新ファンド設定の狙いや、その仕組みについて聞いた。
-募集と運用開始のスケジュールは。
浜田氏 このファンドは単位型の投信だ。8月9日から9月8日まで約1カ月間、三井住友銀行、関西みらい銀行、SMBC日興証券で募集する。単位型なので募集はこれで終了し、9月9日から運用を開始する。
-特徴は。
浜田氏 「プライムOne」と似た商品設計になっているが、「プライムOne」のお客さまからいただいたさまざまな要望を反映して、改良を行った。
-共通点は。
浜田氏 世界有数の金融機関であるゴールドマン・サックスの発行する仕組み債(円建て)のみに投資し、満期償還まで保有する。お客さまには、ゴールドマン・サックスの信用リスクを取っていただく。ゴールドマン・サックスがデフォルト(破綻)しない限り、償還時に元本が返ってくる仕組みだ。
-主な変更点は。
浜田氏 一つ目は、信託期間を5年間とした。「プライムOne」は10年だ。二つ目は、分配方針を変更した。この仕組み債の「固定クーポン」は、当該ファンドの信託報酬等のコストをまかなうだけでなく、毎期の分配金の原資にする。「実績連動クーポン」は、5年後の満期時に元本と一緒に償還金としてお客さまにお返しする。
金利が上昇したことで、信託期間の短縮と固定クーポンの取り扱いの変更が可能になった。
-固定クーポンの取り扱いは。
浜田氏 現在の金利水準を前提にすると、固定クーポンは、信託報酬等のコストに充当した上で、余りが出る水準になる見通しだ。これを使って、年1回、1万口当たり15円程度(課税前)の分配金を実施することを目指している。固定クーポンの水準は、9月9日にゴールドマン・サックス社債の発行条件の中で決まる。
「プライムOne」は、固定クーポンを信託報酬等に充当し、実績連動クーポンを毎期の分配金としていた。このため、実績連動クーポンが少額の場合は、お客さまに分配金をお渡しできないことがあった。
-実績連動クーポンは。
浜田氏 新ファンドでは、実績連動クーポンの連動対象指数の運用戦略に「マクロアロケーター戦略」を採用した。「プライムOne」との違いは、指数のポートフォリオに、米国株式指数先物と米国債券先物のほか、米国の物価連動国債やコモディティ指数、金先物などインフレに対応する資産を追加した点だ。「プライムOne」の指数のポートフォリオは、先進国の株価指数先物や債券先物で構成されている。
ポートフォリオの資産配分は、米国のインフレと経済成長から景気局面を判断し、月次で見直す。経済成長を横軸、インフレを縦軸に取ると、「経済減速・インフレ加速」「経済減速・インフレ減速」「経済加速・インフレ減速」「経済加速・インフレ加速」という四つの象限に分けることができる。それぞれの局面ごとに、異なる資産配分を事前に決めており、それを適用する。景気局面の判断も、予め定めたルールにのっとり、決められた経済指標を使って機械的に行う。
-バックデータの試算は。
浜田氏 新ファンドの目標リスク水準は年率2%程度とした。市場のボラティリティが高まった場合、ポートフォリオの比率を維持したまま、資産全体のリスク量を縮小する調整を日次ベースで行う。「プライムOne」は同3%程度で調整しているので、より穏やかな値動きになるだろう。
こうした条件で、過去データを使ったシミュレーションを行ったところ、年率1.2%程度のリターンになった。5年間の運用期間なので、累積リターンでは6%程度を期待している。
指数は、ゴールドマン・サックス独自の計量モデルに基づいて決定されるが、ルールベースで決定されるので、人間の恣意的な判断が入る余地はなく、指数を提供するゴールドマン・サックスとお客さまが利益相反になることはない。当社のクオンツグループも日々、インデックスの動きを監視する。
-手数料の工夫は。
浜田氏 このファンドは、信託報酬率を「ファンドの日々の元本総額に対して年率0.44%以内(税込み)」としている。このファンドが投資するゴールドマン・サックス社債の発行条件は、9月9日にその時の金利状況を反映して決定されるが、固定クーポンが年15円程度の分配金が出せない水準に決まった場合は、運用会社や販売会社が受け取る信託報酬を引き下げることによって調整する方針だ。
-為替の影響は。
浜田氏 円建てのゴールドマン・サックス社債に投資するので、元本と固定クーポンは、為替の影響を受けない。実績連動クーポンの指数は、先物や為替ヘッジありの指数等を組み入れたものなので、直接的に為替の影響を受けることはない。
-想定する投資家は。
浜田氏 株式や債券市場の先行きが不透明で、金融機関の窓口の担当者も、お客さまに何にお勧めしていいか迷っている状況だと思う。こうした状況だからこそ、元本を確保しつつ、決して大きなものでないが、国際分散投資の成果を上乗せできる、「守る」と「殖やす」を両立する運用が期待されているのではないか。
不透明な投資環境の中で、商品選択を迷われているお客さま、これから投資を始めようとするお客さまに利用していただきたいと考えている。このファンドが「預金から資産形成へ」と、投資家の裾野拡大に役立つことを期待している。
お客さまの評価や、今後の金利動向を勘案しながら、シリーズ化することも検討していきたい。