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「ティー・ロウ・プライス 新興国ディスカバリー株式ファンド」を設定へ=新たな成長ステージに向かう新興国、優良企業を再発見し逆張りで長期投資

2026年08月13日 07時00分

ティー・ロウ・プライス

 ティー・ロウ・プライス・ジャパンは、「ティー・ロウ・プライス 新興国ディスカバリー株式ファンド」を8月31日に設定する。

 独自のドライバーで新たな成長ステージに移行しつつある「シン・新興国」の企業から、市場で見過ごされている優良企業をディスカバリー(再発見)し、コントラリアン(逆張り)の視点で投資して、長期的なリターンの獲得を目指す。

 執行役員投信営業部の吉原秀俊氏と運用本部株式運用戦略部長 ポートフォリオ・スペシャリストの永井基志氏に話を聞いた。

◆分散投資に高まる関心

-株式市場の現状は

吉原氏 世界の株式市場はここ数年、マグニフィセント・セブンを中心とする米国の大手テック株に投資資金が集中している。世界の投資家のポートフォリオは、米国市場への投資依存度を高めているとみられる。

 ただ、一部の大型テック株には過熱感がみられ、株価の変動性も高まっている。そのため、ポートフォリオの分散を図る動きが強まっており、新たな分散投資先として新興国株が注目されている。

◆「シン・新興国」に変貌

-新興国の状況は

吉原氏 新興国は「先進国を追いかける側」から「世界システムを回す側」へと変貌している。さまざまな国や地域が独自の成長ドライバーを有し、さらなる発展に向けてポテンシャルを解き放ちつつある現在の新興国を「シン・新興国」と概念的に表現している。これまでの新興国観をアップデートする時期に来ている。

 主要な成長ドライバーが三つある。

◆三つの成長ドライバー

吉原氏 一つ目は「先進テクノロジーの進化」だ。台湾や韓国は、AI・半導体の分野において重要な役割を担っており、世界のサプライチェーンにおいて欠かせない存在になっている。また中国は、巨大な国内需要と資本投入で国産化サイクルを作っている。

 二つ目は「デジタル経済の進展に伴う域内消費の拡大」だ。中間層に加えて富裕層も増加する中、インターネットやスマートフォンが急速に普及し、プラットフォームビジネスを通した消費が急拡大している。Eコマース、デジタル決済や物流、デジタル広告といったサービスが発展し、新興国の域内で巨大な市場が育ってきた。

    三つ目は「天然資源の構造的需要拡大」だ。新興国には、希少性の高い鉱物資源や原油・天然ガスなどを産出する国も多い。AIデータセンター関連の設備投資や電気自動車(EV)の普及、クリーンエネルギーへの転換、地政学リスクの高まりによる資源備蓄の動きなどが、資源輸出国の財政改善の追い風になることが期待される。

◆米国と異なる市場特性、魅力的な利益成長性

-新興国株の特徴は

吉原氏 このように新興国は、世界経済の構造変化を追い風として多様な成長要因に支えられており、幅広い投資機会を提供できる。

 また、米国と異なる市場特性を持つことから、米国に偏りがちなポートフォリオを補完する役割が期待される。例えば、政府債務残高の名目GDP比を見ると、巨額の財政赤字を抱える米国よりも、相対的に健全な新興国が多く、構造的にドル離れ(ドル安)が生じやすい環境にある。ドル安が進行すれば、新興国のドル建て債務負担が軽減され、新興国の株式や通貨に資金が流れやすくなるだろう。

 さらに、利益成長性とバリュエーションにも特徴がある。新興国株の1株当たり利益(EPS)成長性は、米国や日本より高い伸びが見込まれる。一方で、バリュエーションの面では、相対的に魅力的な水準にあると考えられ、成長性と割安性を兼ね備えた魅力的な投資対象と言える。

◆再発見と逆張り

-ファンドの運用方針は

永井氏 このファンドが実質的に採用する運用戦略は、市場から「見過ごされている優良な銘柄」を再発見(ディスカバリー)し、株価が下落した局面を投資機会と捉える逆張り(コントラリアン)の視点で運用している。

 新興国株式市場は一般的に、規模が大きく、成長率が高い「高クオリティ銘柄」と「低クオリティ銘柄」というように二つに分けて考えられることが多い。一方、このファンドでは、高クオリティ銘柄と低クオリティ銘柄の中間にある「平均的な銘柄」にも注目し、その中から何らかの理由で株価が下がっている銘柄を再発見し、市場平均を上回るリターンの獲得を目指す。

◆基準を設け規律を持った運用を実施

-逆張りの手法は

永井氏 投資タイミングについては、株価下落の途中で投資するのではなく、売り圧力が一巡し株価が横ばいになった局面を見極めたうえで投資する。これにより、株価がさらに下落するリスクを抑制しながら、株価上昇時の恩恵を最大限享受することを目指す。

 銘柄の選定に当たっては、七つのポイントに注目している。企業の自助努力で業績を改善させる要因となる①コスト削減 ②経営陣交代 ③配当・自社株買い強化 ④資産売却-の四つと、企業の外部要因である⑤競合他社の倒産の可能性 ⑥景気サイクルの改善 ⑦政権交代による政策転換-の三つだ。

 売却の判断については、企業の内部・外部要因が改善しているにもかかわらず、投資開始から2~3年を経ても株価が上昇しない場合、バリュートラップを避けるため売却するなど、規律ある運用を行う。一方、株価が上昇した場合は、①市場の注目が集まっているか ②割高になったか ③投資仮説が変わったか-の3点を確認して、継続保有か、売却か、を判断する。

◆下落リスクの抑制、上昇局面でのリターン獲得を目指す

-マザーファンドの運用状況は

永井氏 市場で過度に売り込まれた銘柄に着目する逆張り運用を採用しているため、2026年5月末時点の国・地域別組入比率では、台湾や韓国の比率が新興国株式インデックスより相対的に低い一方、ブラジルやタイの比率は相対的に高い。セクター別に見ても、情報技術やコミュニケーション・サービスが相対的に低く抑えられている。一方、素材、金融、エネルギーは、多めに組入れている。

 この運用戦略は2015年に設定され、新興国株式インデックスを上回るパフォーマンスを残してきた。毎年のリターン実績を見ると、市場で過度に売り込まれた銘柄に投資するので、下げ局面に強い傾向が見られる。一方、上昇局面でも同インデックスのリターンと同等のリターンをあげている。下落リスクの抑制に配慮しながら、上昇局面でもリターン獲得を目指す運用を行ってきた。

 2026年5月末時点の組入銘柄数は63銘柄と、新興国株式インデックス(1203銘柄)と比べて、絞り込んだ運用を行っている。ただ、組入れ国・地域は23と、同インデックス(24)と同水準の分散投資を実施している。運用方針に沿って、予想EPS成長率はインデックスより高く、バリュエーションは低くなっている。

 具体的に組入上位銘柄を見ると、トップ3は「サムスン電子」「台湾セミコンダクター」「SKハイニックス」と、韓国や台湾の半導体関連銘柄が並んでいる。ただ、このファンドは、これらの銘柄が大きいから保有しているのではない。これらの企業が「見過ごされている銘柄」だったときに保有を開始し、継続保有している。

◆自分の足で稼ぐリサーチ体制

-運用体制は

永井氏 3名からなる新興国ディスカバリー株式運用チームとリサーチチームを合わせ約30人と厚い人員をグローバルに配置している。機関投資家の保有比率が少なくなり、証券会社のリサーチも出てこない銘柄に着目するため、自分の足で情報を取る必要があるからだ。経験豊富なプロフェッショナルが、独自の調査力を生かして、新興国の成長機会を見極め、長期的な資産の成長を目指して運用している。

 

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