グローバルに活躍する日本企業、経営改革やインフレが追い風に=主力日本株投信のファンドマネジャーが対談-アセットマネジメントOne
2026年07月07日 06時30分
(酒井氏) アセットマネジメントOneは「商品戦略フォーラム」を開催し、日本株の主力ファンドを運用する3人のファンドマネジャーが、急成長する日本株について対談した。運用本部株式 運用部長/CIO(株式)の酒井義隆氏は、日本株の成長ドライバーについて「世界で活躍する企業が増えていることだ」と指摘,「日本企業の収益力は着実に向上している」と述べた。主な発言は以下の通り。
◆グローバルに活躍、経営改革、インフレ
-日本株の成長ドライバーは
酒井氏 一番の成長ドライバーは、世界で活躍する日本企業が増えていることだ。20~30年前は自動車や家電メーカーだったが、今はそれに加えて半導体関連やアパレル、外食など幅広く活躍している。
関口智信氏(運用本部 株式運用部 日本株式運用チーム長) 日本企業の経営の変化だ。金融庁のコーポレートガバナンス・コードの改訂や東証の上場企業改革、アクティビスト投資家の台頭などで、資本効率を重視した経営が日本企業の成長力を高めていくだろう。
安西慎吾氏(運用本部 株式運用部 日本株式運用チーム長) 日本経済がインフレにモードチェンジしたことだ。インフレは、生活者目線で見ると、モノやサービスの価格が上昇することだ。一方、企業目線で見ると、原材料価格や人件費の上昇を製品・サービス価格に転嫁できており、企業業績は拡大しやすい。
◆他市場との相対観、円高、上振れも
-先行きについて想定外の出来事は
(関口氏)酒井氏 想定外ということなので想定することは難しいが、他の金融市場との相対観で日本株への資金の流れが変わることだ。例えば、米国10年債の利回りが5%を超えて高止まりして米国債に魅力を感じる人が増えたり、一部新興国で株価上昇の期待が高まったりするなど、グローバルな金融市場の中で相対観の変化が起こるリスクが考えられる。
関口氏 私としては想定していないが、円高が進むことだ。日本の輸出額は過去最高を更新している。原油価格の下落などで輸入額が落ち着いてくれば、貿易黒字が円高の要因になる可能性がある。また、米国のインフレが落ち着いて米国金利が低下すれば、日本は金融正常化に向けて利上げ方向にあるため、日米の金利差が縮小して円高の材料になるだろう。
安西氏 私が考える想定外は、かなり前向きで、日経平均株価がさらに上伸を続けることだ。今後も企業業績が順調に拡大していけば、起きても不思議ではないだろう。
◆海外投資家が注目、インフレ下の資産防衛、長期投資の対象に
-日本株の位置づけの変化は
酒井氏 海外投資家の日本に対する注目度が高まっている。日本株は「投資しなくてもよいアセット」から「投資をして当然」というアセットに変化してきた。以前は「日本は人口が減少し経済が停滞している」と言われが、今はインフレや東証改革、世界で活躍する日本企業を見て、評価が変わってきている。
安西氏 資産防衛としての日本株だ。デフレ時代は製品・サービスの価格が下がるので「現金」が最強の資産だった。しかし、年率3%の物価上昇が10年続くと、今100円の製品が134円程度に上昇してしまう。現金の価値が目減りしてしまうので、インフレに強い「株式」や「不動産(REIT)」、「金(ゴールド)」などで資産防衛する必要性が出てきた。
関口氏 日本株は、資産防衛のための金融資産に変化した。デフレ下では、短期で売買して利益を出すものだったが、インフレ下では、物価が上昇し経済が成長する中で、企業業績が拡大することが想定されるので、しっかり長期で保有し続けることが非常に重要だ。
◆企業改革は今後もプラス要因
-日本株の評価は
(安西氏)安西氏 企業改革が続いており、今後もプラス要因として働くだろう。東証は上場企業に対して資本効率を重視しROE(自己資本利益率)を向上させるように要請した。企業はまず、自己資本を抑制するために、政策保有株や不稼働の不動産を売却し、自社株買いや増配などの株主還元策を積極的に行った。利益面では精緻な中期経営計画を作成し、事業構造改革に取り組んだ。
東証はTOPIX(東証株価指数)改革を進めており、約3年に1度、浮動株時価総額などが下位の銘柄を指数から除外する。企業は上場を維持するために、企業価値を高め、株価を上昇させないといけない。東証改革は1回だけの対策ではなく、中長期的に継続するものなので、今後も日本株の大きなサポート要因になるだろう。
◆収益力が向上し、BPSが拡大
―日本企業の稼ぐ力の変化は
酒井氏 企業の収益力は着実に向上してきている。日経平均株価やTOPIXの過去5年平均のROEは、欧州と同水準に近づいてきた。株価上昇の要因を分析すると、PBR(株価純資産倍率)よりも、BPS(1株当たり純資産)の増加がより大きく寄与した。これは、企業の稼ぐ力が強まって、バランスシートにキャッシュが貯まってきたことを意味している。
◆設備投資が過去最高、拡大再生産へ
-利益の質や持続性は
関口氏 金利が上昇し、金融機関の貸し出しも伸びている。また、日本のGDPは、物価上昇を含めた名目GDPだけでなく、実質GDPも少しずつ成長しており、マクロから見ても、質を伴って拡大している。
また、企業の設備投資は過去最高を更新している。企業は、コストカットで利益を出しているのではなく、設備投資をして拡大再生産している。
2025年度の上場企業の業種別の増減益を見ると、幅広い業種で質を伴って増益になっている。目立つところでは、半導体がけん引する電気機器や非鉄金属、ガラス・土石製品、防衛・宇宙関連が伸び、内需関連でも、建設、不動産、金融などで利益が拡大している。小売業もしっかり価格転嫁することで増益になっている。
◆「米国の代替」ではなく「もう一つの収益源」
-米国株がけん引する市場で、日本株を持つ意味は
安西氏 1点目は「為替リスクに左右されず、日本企業の成長を取り込めること」だ。私たちは日本で生活し、日本円を使っているので、日本企業の利益増加を素直に享受できる。
「日本株では海外経済の成長を取り込めないのではないか」と懸念する投資家もいると思うが、日本企業の海外売上比率は平均で4割程度に上昇しており、海外経済の拡大を十分に取り込むことができる。
2点目は「変化する日本企業に直接投資できる」ことだ。日本経済がインフレに転じたことで、値上げによって収益を拡大しやすい立場になった。また、東証改革も、日本企業の資本効率の改善を後押している。海外投資家もこの変化を前向きに評価している。
日本株は「米国株の代替」ではなく、「もう一つの収益源」になった。ポートフォリオの「分散」に寄与し、日本経済の「変化」に投資することができる。



![オペレーションF[フォース]](https://financial.jiji.com/long_investment/img/opf_banner.jpg)