サンプル(過去記事より)
AMC、取引停止も上げ止まらず
ファンダメンタルの根拠なし
出来高は65日平均の5倍
映画館チェーン大手のAMCエンターテインメント・ホールディングス<AMC>株は2日、一時取引停止となった。これは重大ニュースが発表されるときにしばしば起こるが、それが理由ではなかった。
取引停止になった理由の一つは、ボラティリティーが高過ぎることだ。AMC株は午後12時15分には50ドル前後だったが、約10分後には60ドルを突破した。AMC株はこの日、90%も高騰した。言うまでもなく過去最高値だ。
一部の市場参加者は、1月に特定の「(ネット情報の拡散に個人投資家が反応して大量売買する)ミーム株」の取引を制限し、個人投資家の怒りを買った株取引アプリのロビンフッドに白い目を向けた。ロビンフッドはツイッターで、今回の取引停止は同社のプラットフォームに限ったことではなく、相場変動が大き過ぎたために自動的に行われたと説明した。
投資家は、何かニュースが発表されると期待したのなら許されるかもしれない。1日で90%も値が動くことはミーム株でもめったにないし、AMCは買収のための資金調達について協議していたからだ。しかし、これまでのところ何も発表されていない。
取引が再開されると株価は50ドルを割り込んだが、すぐに反発し、95%高の62.55ドルで引けた。
AMC株の高ボラティリティーは、1月のゲームストップ<GME>株が上昇したときと同様、空売りやオプション取引などファンダメンタル以外の要因が疑われる。出来高は2日午後1時50分までに約5億8220万株に膨れ上がり、65日平均の1億1070万株を大きく上回った。210万のコールと110万のプットも取引された。何が原因でこのような取引が行われたのかは不明だが、オプション取引が高ボラティリティーの一因ではあるようだ。
「デッド・キャット・バウンス」か
2日に大きく値が動いたミーム株はAMCだけではない。ベッド・バス・アンド・ビヨンド<BBBY>は62%も急伸し、ミーム銘柄の元祖とされるゲームストップは13%上昇した。
このような値動きに、いつものように批判的な声が出ている。株価急伸のファンダメンタル的な根拠の欠如に困惑しているようだ。
エンパイア・ファイナンシャル・リサーチのホイットニー・ティルソン氏は「信じられないが、一部の個人投資家の無謀さはとどまるところを知らないようだ。これは明らかに『大幅下落後の一時的な小幅回復(dead-cat bounce)』で、空売りやプットポジションを追加するチャンスだ」と述べた。