サンプル(過去記事より)
ヘッジファンドがS&P500種をアウトパフォーム
2月にエクスポージャー減らす
強気から一転
今年1月に新型コロナウイルスの感染例が初めて報じられた時点で、ヘッジファンドは強気のポジションをとっていたが、2月にはリスクに対するエクスポージャーを素早く引き下げた。米投資銀行ジェフリーズのデータで明らかになった。
それによると、1月末時点のヘッジファンドのネットでのロング・エクスポージャーは205%だったが、2月には182%にまで低下した。これは平均的なロング・エクスポージャーの水準である185%をわずかに下回っている。このリスク緩和策は報われたようだった。ヘッジファンド・リサーチ(HFR)のデータによれば、ヘッジファンドの価格は今年第1四半期に9.4%下落した。これがマイナス圏であることは間違いないが、S&P500種株価はこの期間に20%超下落している。
「(ヘッジファンドは)株価下落の大きさを素早く理解し、2月にエクスポージャーを引き下げる措置をとった」とジェフリーズのアナリスト、スティーブン・デサンクティス氏は28日のリポートで指摘した。デサンクティス氏は先月、ヘッジファンドが1月に株式へのエクスポージャーを増していることについて、「タイミングを誤っている」と述べ、こうした増加に懸念を示していた。
デサンクティス氏は幾つかのタイプのヘッジファンド・ポートフォリオの動きを追っているが、彼がカバーするこれらすべてのタイプは、S&P500種の3月の安値から現在までの株価をアウトパフォームしているという。また、S&Pが高値をつけた2月の時点から現在までのパフォーマンスでも、ほとんどのタイプのポートフォリオがS&P500種を上回っている。
人気のロング・ポジション銘柄はアマゾン
ヘッジファンドにとってロング・ポジションの銘柄として引き続き人気のあるのがインターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コム<AMZN>で、ショート・ポジションで人気があるのは米電気自動車(EV)メーカーのテスラ<TSLA>。
ジェフリーズが「戦場(Battleground)」と呼ぶポートフォリオは、ロングオンリーのファンドが保有し、ヘッジファンドが空売りしている銘柄で、価格はピーク時から9.3%下落している。このポートフォリオにはシェブロン<CVX>、医療機器関連企業のデックスコム<DXCM>、クアルコム<QCOM>が追加され、アップル<AAPL>、JPモルガン・チェース<JPM>、ユナイテッドヘルス・グループ<UNH>が除外された。
デサンクティス氏によれば、株価のより著しい動きは、ヘッジファンドがネットのロング・ポジションからネットのショート・ポジションに変更したか、その逆にショートからロング・ポジションへと変更した銘柄で見られたという。
1月から2月にかけてショートからロングになった銘柄はアップル、ユナイテッドヘルス・グループ、ゼネラル・エレクトリック<GE>がある。一方、ロングからショートになった銘柄には、米バイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズ<GILD>、アメリカン・エクスプレス<AXP>、ゴールドマン・サックス<GS>が含まれている。