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ボーイング737MAX生産停止の影響は

Boeing Is Halting Production of the 737 MAX. What It Means for GE and Honeywell

GE、ハネウェルはボーイングの売り上げ比率低いが、航空会社は株価に打撃か

300機超が在庫

EPA時事

ボーイング<BA>が、2件の墜落事故を受けて世界中で運航を停止している新型旅客機737MAXの生産を2020年1月から停止する。航空関連業界には一段の打撃だ。部品のサプライヤーのほか、航空会社に影響が及ぶ。

ただ、ボーイングは今回の発表で、20年中の737MAXの運航再開を見込んでいないとは一切示唆しておらず、生産停止の影響は限られることになろう。

737MAXは3月中旬以来、運航を停止しているが、ボーイングは4月、1カ月当たりの生産を52機から42機に減らすことを決定。運航停止以来、300機超のMAXが生産され、留め置かれている。ボーイングの売り上げやサプライヤーへの支払いで、数十億ドルに相当する。

ボーイング株は16日、シアトル・タイムズが737MAXの生産が間もなく停止されると報じたことを受けて327ドルと、14ドル(4.3%)超下げた。エチオピア航空の737MAXが墜落した3月以来の取引レンジの下限だ。この事故の結果、ボーイング株は約22%下げた。

サプライヤーの株価は市場を上回る

本誌が追跡する航空関連サプライヤーの株式の過去1年間、およびエチオピア航空事故以来の上昇率は、市場全般の伸び率を上回っている。投資家はMAX関連の利益とキャッシュフローへの影響について、ほとんど無視しようとしてきた。

ただ、売り上げではボーイングに最も依存するスピリット・エアロシステムズ<SPR>の株価は3月初め以降、約18%下落した。16日はボーイングに連れ、1.6%安。時間外取引ではさらに5.4%下げた。

17日には、ハネウェル<HON>やゼネラル・エレクトリック<GE>、ユナイテッド・テクノロジーズ<UTX>など、民間航空機のサプライヤーの株価変動もあり得るが、それほどは期待できない。繰り返すが、ボーイングは間もなく、737MAXの運航再開ができると依然信じている。また、これら3社にとってボーイングは売り上げ全体の小さな部分を占めるに過ぎず、737MAX関連はさらにその一部だ。忘れてはならないのは、これら3社は737MAXの逆風にもかかわらず、今年はウォール街の業績予想を達成、もしくは、上回った。

サプライヤーへの打撃はキャッシュに関するものだ。一段の遅れは、キャッシュフローには一段の逆風となる。飛行機が留め置かれている間はサプライヤーは支払いを受け取れない。GE幹部は第3四半期業績についてのコンファレンスコールで2019年の737MAX運航停止の影響は約14億ドルになると明らかにした。GEは737MAXのエンジンを製造している。

GEの広報担当者は本誌に対し、「われわれはボーイングや顧客の航空会社と共に、737MAXの安全な運航再開のため緊密に作業している」「一時的な減産の影響を最小化するため、顧客やサプライヤーと組んでいる。将来必要となる生産を加速する能力も維持する」と語った。

アメリカン、サウスウエスト株は下げも

737MAXを運航していた航空会社も影響を受ける。アメリカン航空<AAL>とサウスウエスト航空<LUV>の株価は17日に下げる可能性がある。いずれも、輸送能力の不足や運航費用が膨らむことで、2019年に数億ドルの負担増となるとしている。再開の一段の遅れは一段の損失になる。

一方、15万人超のボーイングの従業員にも影響がある。このうち737MAXの組み立て工場のあるワシントン州レントンは約1万2000人だ。ボーイングは発表で「影響を受ける従業員には737関連の仕事を続けてもらうか、一時的にピュジェット・サウンド工場での仕事に就いてもらう」と述べた。

次に投資家が疑問を抱くのは、配当だ。ボーイングは16日に四半期配当2.055ドルを発表したが、同社が減配を検討することはなさそうだ。仮にそうならば、737MAXの問題がさらに深いことを示す。減配の可能性が小さくても、投資家はこの先数カ月、ボーイング経営陣が再確認するかに注目するだろう。

 

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