サンプル(過去記事より)
スプリントとTモバイルの再交渉へ期待か
株急伸も合併条件の水準に及ばず
「競争損なわれない」
米携帯電話サービス第3位のTモバイルUS<TMUS>と、ソフトバンクグループ傘下の同4位スプリント<S>の株価が11日、連邦地裁による合併承認を受けて急伸した。スプリントは午前の段階で一時74%高の約8.35ドル、Tモバイルは約12%高の95ドル付近を付けた。地裁判事は合併により競争が損なわれたり、米国内での価格が上昇したりすることはないと判断した。
Tモバイルのジョン・レジャー最高経営責任者(CEO)は「ずっと言ってきたことだが、(合併後の)新Tモバイルは、消費者にとってすばらしく、競争にとっても好ましい、十分に力を蓄えたUn-carrier(同社の販売戦略の名称)になる」「合併後のわれわれの会社のみ実現できる、広範な5G網が携帯電話サービスそして、その先を変える」と述べた。
両社は2018年の春に合併で合意。連邦当局は2019年夏に認めたものの、州司法長官らが、差し止めを求めて訴え、裁判は1月に審理が終了していた。投資家の間では、合併支持の判断が出るか懐疑的な見方が強まっていたものの、ビクター・マレロ連邦判事は「合併後にTモバイルが非競争的な行動に出て、携帯電話サービスの価格上昇もしくは品質低下につながり、米全体の市場における競争が著しく阻害される」との州司法長官らの主張を退けた。また、巨額の債務を抱えるスプリントが合併しなくても強い競争力を持っていられるとの主張も認めなかった。
株交換比率が焦点?
両社の合併合意では株式交換比率は、スプリント株1株につきTモバイル株0.10256株としている。朝の時点のTモバイルの株価をこの比率に当てはめると、スプリント株は約9.75ドルに相当するが、急騰後もスプリントの株価はこの水準を大きく下回っている。両社が合併条件の再交渉を行うと、投資家が期待しているかもしれない。
本誌は最近、合併の諾否にかかわらず、Tモバイル株は勝者になると分析した。