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高リスクのジャンク債が急伸

The Riskiest Junk Bonds Have Rallied. That Might Not Be Good for Investors

投資家には良くないかも

原油高、米中合意が背景

AFP時事

最もリスクのあるジャンク債、いわゆる「CCCs」が最近、急伸している。今年の大半は出遅れが目立っていたものの、高利回り債市場の投資家やアナリストらは、このところの上げのスピードに驚いている。

リーマン・リビアン・フリドソン・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)マーティー・フリドソン氏は「投資家は、少なくともしばらくは、投機的格付け債への投資留保を撤回したようだ」と語った。

CCCsは依然、通年のリターンでは高利回り債市場全体に後れを取っている。ICEバンクオブアメリカ・メリルリンチによると、12月19日までの1年間のリターンは8.9%と、市場全体の14%を下回る。今年の大半、投資家が最もリスクのある債券を敬遠していたからだ。

しかし、このトレンドは12月に反転。CCCsは19日間で、5.2%のリターンを記録した。1.9%だった高利回り債の市場全体のパフォーマンスを上回るだけでなく、11月30日までの1年間のCCCsのリターン、3.3%も優に超えた。

12月に起きた二つの事が投資家の信頼感を高めたもようだ。第1は、原油価格の上伸。先物相場はほぼ9%上げた。第2に、米国と中国の貿易協議が「第1段階」合意に達する見込みとなったこと。

さらに、パフォーマンスの格差が長く続き、CCCsが良く映り始めたことだ。

アムンディ・パイオニアの高利回り債ポートフォリオマネジャー、ケン・モナハン氏は「原油相場の小幅上伸や米中貿易合意見通しが、CCC急伸の理由の一部かもしれない。だが、より大きな理由は、CCCが、かなり大幅に、そして長期にわたり後れていたことだ」「少なくともパフォーマンスの差を埋める動きは不可避だ」と分析した。

スプレッドの縮小余地、「限られる」

ただ、投資家にとって最近の急伸は、良いニュースではないかもしれない。債券市場で、明らかに不適切な価格に設定されているものの一つがなくなりつつあるからだ。また、年初、それどころか6月と比較しても、ジャンク債の利回りは米国債の利回りにかなり近づいてしまっている。

その結果、投資家が一段のリスクを取ることで得られるかもしれない将来のリターンが制限される。

高利回り債の実効利回りは現在5.3%で、米国債利回りを3.5%ポイント上回る。この格差、スプレッドは今年1.3%ポイント縮小した。

ゴールドマン・サックス・グループの金融ストラテジストらはこのスプレッドが82ベーシスポイント拡大すると予想。「2020年には、スプレッドがさらにタイトになる余地は限られる見込みだ」「特殊なチャンスがあっても、その先、継続的にCCCに(投資が)向かう可能性は依然弱い」と分析した。

 

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