サンプル(過去記事より)
景気後退ならファストフードに注目
トップピックはマクドナルド
ピザとハンバーガーから逃れることはできない
死と税金は誰も逃れることはできない。アメリカ人はこのリストにピザとハンバーガーを加えるべきかもしれない。
ゴードン・ハスケットのアナリスト、ジェフ・ファーマー氏は、米国のリセッション(景気後退)入りが現実味を増す中で、外食産業について調査した。同氏は20年に及ぶ四半期ごとのデータを分析し、景気後退時にはカジュアルダイニングよりもファストフードの方が回復力があることが「明確に示された」としている。
市場はそれをある程度織り込んでいる。景気後退への懸念が外食産業を直撃し、今四半期の下落率はこれまで28%と、S&P500指数の18%を上回っている。その一方でハンバーガーとピザ銘柄は15%程度だ。
特にマクドナルド<MCD>、ドミノ・ピザ<DPZ>、ヤム・ブランズ<YUM>の下落率は1桁台にとどまっている。これはファストフードが不況に強いだけでなく、フランチャイズモデルでキャッシュフローが安定しているためと思われる。
ファーマー氏は「一般消費財部門は、景気後退という嵐から避難できる数少ない港の一つだ。特にマクドナルドはトップピックで、ドミノのリスク/リターンも魅力的だ」と述べた。
実際、マクドナルド、ドミノ、パパ・ジョンズ・インターナショナル<PZZA>の2000~2019年の既存店売上高は、国内総生産(GDP)との相関関係が最も低かった。
レストランには逆風
2008年から2009年には4四半期連続でGDPがマイナス成長となったが、マクドナルドの売上高は4%近く、チポトレ・メキシカン・グリル<CMG>は2.5%それぞれ増加した。この期間に売上高が伸びたのはこの2社だけだったが、パパ・ジョンズとドミノの減少幅は小幅にとどまった。
対照的にカジュアルダイニングは景気の影響が大きかった。ファーマー氏の調査によると、テキサス・ロードハウス<TXRH>がGDPとの相関が最も高く、チーズケーキ・ファクトリー<CAKE>、スターバックス<SBUX>が僅差で続いた。
ファーマー氏は「カジュアルダイニングは自由裁量が大きく、経済の不確実性が高まれば売上高は減少する。一方、ファストフードは家庭での食事の代わりとなることが多く、自由裁量ははるかに小さい」と述べた。
他のアナリストも同様に、ドミノやマクドナルドなどファストフード大手は、消費者から高い評価を得ており、不安定な経済状況を切り抜けるだけの規模があるため、アウトパフォームする可能性が高いとみている。
米商務省が15日に発表した5月の小売売上高は前月比0.3%減少し、予想を大きく下回るサプライズとなった。しかし、食品・飲料サービスはよく持ちこたえ、レストランは前月比0.7%、前年同月比17.5%それぞれ増加した。好調さは4月から続いているが、伸びは減速している。
レストランは、アメリカ人が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時にできなかった外食経験を取り戻そうとする「リベンジ消費」で好調だ。しかし、インフレ率、特に食品価格が過去最高水準にあり、投資家は最近の好調さをほとんど無視している。消費者は生活必需品を買うために裁量的支出を削減せざるを得ず、レストラン向けの支出は持続できないとみられている。