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WEEKLY 2022年7月10日号

株価、見通し明るい

Stocks’ Outlook Brightens on Good Jobs News and Lower Commodity Prices

雇用は堅調、コモディティー値下がり

FRB、利上げ見合わせも

Joe Raedle/Getty Images

景気は底堅いように見え、インフレは減速している。この組み合わせはS&P500指数が20%下落した厳しい上期の後、下期は堅調になることを意味している可能性がある。

8日に公表された6月の雇用統計は、株価上昇シナリオをある程度支える内容だった。非農業部門就業者数はコンセンサス予想の前月比25万人増に対して37万2000人の増加となる一方、平均時給は5月の前年同月比5.3%の上昇に対し、5.1%の上昇だった。失業率は3.6%と横ばいで推移した。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今月、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.75%引き上げ、2.25~2.5%にすると予想されている。

FRBが8%を超えるインフレを抑制しようとしているため、CMEフェドウオッチによれば、市場は依然として年末までにさらに1%の利上げを予想している。しかし、広範なコモディティー価格の下落や他のインフレ減速の兆候を見れば、FRBは利上げを幾分、自制するかもしれない。

そうした期待は株式市場や債券市場を後押ししており、10年物米国債の利回りは3.1%と、6月の最高水準から0.25%超低下した。S&P500指数は6月安値から6%上昇しており、先週は2%の上昇だった。主要株価指数は8日の雇用統計公表後、ほとんど動かなかった。

小型株、低バリュエーション

ルーソルド・グループのチーフ投資ストラテジストであるジム・ポールセン氏は、FRBは26、27日の次回の連邦公開市場委員会(FOMC)後に金融引き締めを一時的に停止する可能性さえあるとしている。ポールセン氏は本誌に対し「FRBが一時的に引き締めを停止し、景気が後退しないのであれば、かなりの株価上昇につながる可能性がある。S&P500指数のバリュエーションは過去の平均を下回り、小型株のバリュエーションは非常に低い」と述べた。

S&P500指数の2022年予想PER(株価収益率)は17倍台であり、2023年予想PERは16倍を下回る。S&P500指数の2022年予想株式益回り(予想利益を現在の株価指数で割ったもの、PERの逆数)は6%近い水準にあり、10年物国債利回りの約2倍である。S&P小型株600指数の2022年予想PERは、わずか12倍である。

投資家の多くはS&P500指数のインデックスファンドに固執し、小型株を気に掛けていないが、大幅なバリュエーション格差を見れば、小型株には一見の価値がある。S&P小型株600指数に連動する上場投資信託(ETF)であるiシェアーズ・コアS&P小型株ETF<IJR>は年初来18%下落し、2018年初めからの上昇率は20%にすぎないのに対し、S&P500指数はこの間に45%上昇している。このETFの配当利回りは約2%である。

金融株、悪材料織り込み

金融株は景気後退懸念から下落しており、業界リーダーのJPモルガン・チェース<JPM>とバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)<BAC>は年初来25%を超える下落率となっている。6大企業のうちシティグループ<C>、モルガン・スタンレー<MS>、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴ<WFC>の4社は今週、ゴールドマン・サックス・グループ<GS>とバンカメは来週18日に決算を発表する。

決算はさほど良くないと予想される。投資銀行業務が不振で、住宅ローン手数料収入も減少している上、業績が好調だった2021年と比較することになるため、分が悪い。自社株買いは減少しているが、これは保有する債券ポートフォリオに打撃を与え資本を減少させる金利上昇によるものだ。しかし、こうした問題の全ては恐らく、下落した株価に織り込まれている。

6大企業の株価の2022年予想PERは7~11倍にすぎない。バンカメ、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックスの株価純資産倍率(PBR)は1倍前後だが、この水準は株価の底値になってきた。株価上昇候補であるシティグループのPBRは、0.5倍にすぎない。6社の多くは直近の一部銘柄の増配後で配当利回りが3%以上あり、シティグループは4%を上回る。経済が崩壊しないとすれば、こうした配当利回りには安心感があるように見える。

ウェルズ・ファーゴのアナリストであるマイケル・メイヨー氏は最近、6社ほとんどの予想利益と目標株価を下方修正したが、強気の見方を再確認した。メイヨー氏は純金利収入の増加、経費管理、バランスシートの強固さに言及し、バンカメを選好している。

 

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