サンプル(過去記事より)

ウォーレン・バフェット氏の後継者は誰か?

Who Will Replace Warren Buffett? Berkshire Hathaway’s Annual Meeting May Provide a Clue.

バークシャー年次株主総会が占うヒントに

注目はアベル副会長

Photograph by Johannes Eisele/AFP via Getty Images

米投資会社バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>は5月2日にネブラスカ州オマハで年次株主総会を開催する。今年は新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、インターネット中継で開催される。総会には最高経営責任者(CEO)として同社を率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏(89)と、同社副会長でバフェット氏の後継者候補と目されるグレッグ・アベル氏(57)が役員として出席する。

 株主総会には例年であれば世界中から3万人以上の株主が出席するが、今年は新型コロナウイルスの影響で出席は認められていない。これまでバフェット氏とともに総会の席にいた同社副会長のチャールズ・マンガー氏(96)、および同じく副会長のアジット・ジェイン氏(68)は質疑応答などに加わらない見通し。

 投資家らは、株主総会に先立って発表される今年第1四半期の決算で、バークシャーがこの四半期中に株式を積極的に買い付けていたのかどうか、また自社株を買い戻していたのかどうかにも注目している。

 バフェット氏は投資家に対し、長期的展望を持つよう求めていることから、実際の決算内容はそれほど重要でないかもしれない。また、新型コロナウイルスに伴う最近の景気の急減速については、今回の決算にはそれほど反映されない公算が大きい。約2500億ドルに上るバークシャーの投資ポートフォリオの下落を考慮すれば、発表される収益は大幅な損失になるかもしれないが、投資家たちは営業利益にもっと関心を持っている。

 バフェット氏はこの数週間、投資について公的には沈黙しているが、マンガー氏は最近の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、金融の嵐の中でバークシャーは警戒姿勢をとっていたことを示唆した。同氏は、「われわれは常に、安全な側にいるようにしている。それは何か積極的なことができなかったり、機会をとらえることができなかったりすることを意味するのではない。ただ、基本的にわれわれはかなり保守的である」と述べた。

3月の株価急落への対応

バークシャー株主の一部は、3月の株式相場の急落の際、バフェット氏がその機会をとらえ、同社の巨額の資金を投入して(割安となった)大量の株式をすくい上げる一方、自社株を積極的に購入していたのではないかと期待している。

 バークシャーの2019年の株式購入数は前年より少なく、自社株の買い付けも控えめなものだった。2019年の同社の株式購入額はネット(正味)で43億ドルで、前年の244億ドルから大幅に減少した。自社株の購入額は49億ドルで、発行済み株式の1%未満だった。

 バークシャーは第4四半期に自社株の買い戻しペースを加速させ、21億ドルを購入した。一部の株主は、同社が第1四半期も、少なくとも同程度の買い付けを実施したことを期待している。

 バークシャーの「クラスA株」<BRK.A>の株価は27日の取引の早い時間帯で前週末終値比0.4%高の28万0500ドル、「クラスB株」<BRK.B>は0.2%高の186.89ドルだった。

政治や具体的保有株の質問認めず

予定されている株主総会についてバークシャーは、バフェット、アベル両氏は「政治および具体的な投資銘柄に関する質問は受け付けない」と説明している。

 バフェット氏はこれまで、アップル<AAPL>、コカ・コーラ<KO>、ウェルズ・ファーゴ<WFC>など同社が保有する個別銘柄について回答してきただけに、この方針は失望させるものだ。今回の総会でバフェット氏は、今年に入り打撃を受けている金融株や航空株について質問を受ける可能性があった。

 バフェット氏の後継者をめぐっては、2018年初めにともに副会長に指名されて以降、アベル氏とジェイン氏が有力な候補と見なされてきた。アベル氏は保険部門以外のバークシャーの膨大な事業を担当、ジェイン氏は保険部門を担当している。アベル氏はバークシャー傘下のバークシャー・ハサウェイ・エナジーの社長兼CEO、ジェイン氏はバークシャー傘下の再保険部門を統括している。

 バークシャーの事業で幅広く権限を任されている点や、ジェイン氏に比べて年齢が下のことから、バロンズ誌はアベル氏を最有力候補とみなしてきた。ただ、今年8月に90歳の誕生日を迎えるバフェット氏は、バークシャーの運営から身を引きたいとのそぶりを見せていない。