サンプル(過去記事より)

投資家心理、一段の悪化も

Investor Sentiment Is in the Dumps. It Can Still Get Worse.

RBC「底ではない」

11、16年は今回よりベア

Photograph by Spencer Platt/Getty Images

当然のことだが、個人・機関投資家いずれも株式相場について、かなり陰鬱になっている。S&P500指数など株価指数は、この1カ月足らずの間に3分の1低下した。

実際、投資家の地合いを示す最近の2指標によると、プロのマネーマネジャーは2018年終盤の相場急落の際よりもベアで、金融危機下にあった2009年に比べても一段とベアになっている。いずれの時(2018、2009年)も、その後は市場に投資家が戻るとともに株価が上げており、ターニングポイントになった。

しかし、RBCキャピタル・マーケッツの米国株式戦略ヘッド、ロリ・カルバシナ氏は株式相場が底を打ったわけではないとみている。米商品先物取引委員会(CFTC)の米株先物のデータで資産マネジャーのポジションを検討するとともに、全米個人投資家協会(AAII)の週間統計のデータを考察。「数週間にわたり急速な下げが続いたが、(投げ売りを招く)キャピチュレーションと呼ぶ時ではない」と述べた。

スタートしたところを見なくてはならない。米株は2019年終盤、2020年第1週に急伸し、株式の「メルトアップ」が広く語られていた。資産マネジャーの米株のネットの買いポジションを示すCFTCのデータによると、2月中旬に株式先物のポジションは過去最高の楽観的な水準に達していた。

カルバシナ氏は、今回の急落局面では、これに先立つ急騰局面で機関投資家の心理が上方に行きすぎていたのと同様に、機関投資家心理が下方に行き過ぎていると分析。過去にはさらに下方に行った例があり、2011、2016年には先物ポジションが、今よりベアだったという。

底打ちに必要なプロセス進む

AAII の最新統計によると、個人投資家は先週、51.2%がベアと回答した。急落が始まった3月4日の調査では、ベアは39.6%にとどまっていた。一方、先週の調査でブルだったのは34.4%。カルバシナ氏は個人投資家の地合いを見る上で、ブルとベアの差に着目するが、先週はマイナス16.8%と、2週前に比べ、悲観がわずかに後退した。

しかし、さらに悪化する余地がある。2018年12月にはブル・ベアの差はマイナス28%に開いた。S&P500指数が666で底打ちした2009年3月にはマイナス51%に拡大した。

同氏は24日のレポートで「われわれは投資家のキャピチュレーション(極端なベア)を、これだけでは不十分だが、米国株式が大幅な調整を迎えた際の底打ちプロセスに必要な条件とみている」「このデータに基づくと、キャピチュレーションのプロセスは進んでいると言っても差し支えない。しかし、このプロセスが終わったと宣言するのは時期尚早のようだ」と書いた。