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株暴落、どこで止まる

The Stock Market Is Tanking. Here’s One Way to Think About Where It Stops.

PER、依然歴史的水準上回る

米国債利回りみると株価は妥当

Photograph by Victor J. Blue/Bloomberg

ウォール街は、ショックに次ぐショックを織り込もうと先を急いでいる。新型コロナウイルスへの懸念で既にジェット燃料などの需要が後退している時に、サウジアラビアが石油価格戦争を仕掛けた。株価下落で悲観が強まり、そして悲観により株価が下げられるというフィードバック・ループに投資家は巻き込まれている。

週明け9日午後にダウ工業株30種平均は1800ドル(約7%)超下げ、S&P500指数は6.7%下落。10年物米国債利回りは、安全への逃避の動きから0.50%に低下した。原油相場は20%安。

どこまで、下げるのだろうか?あなた自身の予想を立てる上で、ここに幾つかの数字がある。いつもの警告がある。過去のパターンは今回当てはまらないかもしれない。私には短期的な株式市場の方向を予測する特別な能力はない。私のは、いつも推測であり、株、債券、現金の健全な組み合わせを維持することで、自分が間違う可能性に備えている。

今年初め、ウォール街は2020年の(企業)利益の伸び率が2桁になると予想していたが、決算が近くなると予想が下方修正される傾向があることを知っている投資家は1桁台半ばの伸びを想定していた。しかし、先週には、利益横ばいが妥当な想定のようだった。さらに、原油相場の急落で、利益が減少する可能性の方が強くみえるようになっており、リセッション(景気後退)の可能性が排除できなくなった。

165ドルから始めよう。これは、利益の伸びがほぼゼロと想定した場合のS&P500指数企業の2020年の1株当たり利益だ。週末6日の終値2972だと、株価収益率(PER)は18倍。歴史的平均は15倍だが、どの種の利益を用いるか、実績か予想か、どちらの利益の数字を用いるかにもよる。

株価は若干高いが、週末に米国債すべての利回りが1%を割り込んでおり、この極めて低水準の利回りとの相対では、株価は妥当にみえる。

リセッションなら、さらに20%下落?

それではリセッションによる利益への影響はどうか?ゴールドマン・サックスによると、1947年以来リセッションは11回あり、減益率の中央値は13%だった。しかしレンジは広く、1桁台の減少もあれば金融危機時の45%の減少もあった。

典型的なリセッションなら、S&P500指数企業の1株当たり利益は143ドル強に減少することになる。投資家の株への熱意が冷め、PERが15倍に低下したと想定すると、S&P500指数は2153まで下げる。6日の終値に比べると27%超、9日午後比では20%、それぞれ安い水準だ。

パニックになることはない。リセッションが迫っていると宣言するにはまだ早い。金利がここまで低下したことはこれまでになく、投資家が株に支払おうとする金額にどう影響するかもわからない。投資家が引き続きPER18倍でも買う意欲があるなら、典型的なリセッション下では、株価は6日終値を13%下回った水準まで下がるだけだ。


推測を続けるが、特に短期的なことについては、間違いを覚悟している。逆張りの指標としてみられているオプションのプットとコールの比率は、過去10年間のピークには戻っていない。これは陰鬱が最大限になっていないことを意味するかもしれない。

モルスタ「新型ウイルス以前にも逆風」

ウォール街では9日、以下のコメントが出ていた。

モルガン・スタンレー「世界の成長への懸念が(株価)調整の唯一の要因として皆が注目しているが、この見方については、(新型コロナウイルスの)感染拡大以前の景気回復の脆弱性や、利益減少/利益率圧迫、関税、さらに、恐らく行き過ぎた連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め、といった既存の逆風を過小評価していると考える」

バンク・オブ・アメリカ「S&P500指数構成銘柄の利回りは10年物米国債利回りの2.5倍で、1951年以来最高だ」「原油相場は(1バレル=)20ドル台前半に下げ、15年ぶりの安値を更新する可能性がある」

 

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