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アップル、サプライチェーンにリスクか

Apple’s Real Coronavirus Risk Is the iPhone Supply Chain, Not China Retail Stores

ドイツ銀、「中国店舗閉鎖の影響は軽微」

1部品欠けたら影響も

Photograph by Jack Taylor/Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、アップル<AAPL>は先週、中国の店舗やオフィスなどすべての施設を一時閉鎖した。アナリストの多くは、新型ウイルスによるアップルへの影響は限定的とみているが、ドイツ銀行のアナリスト、ジェリエル・オング氏は、投資家は短期的な売り上げよりも、iPhone(アイフォーン)のサプライチェーン(部品供給網)についてより懸念すべきだとしている。

オング氏は3日の調査ノートで、中国の店舗閉鎖による財務上の影響は「比較的軽微」にとどまる見込みだと指摘した。同社は中国に42店舗を構えるが、オング氏は1週間閉鎖すると、4000万~5000万ドルの売り上げが減ると試算(アップルの9~12月期の売上高は918億ドルで、1日当たり10億ドル、1時間当たり約4000万ドル)。外出を控える人が、アップルストアでゲームやアプリをダウンロードするため、小売り減少分が一部補われる可能性があると述べた。

その上で、より大きな心配の種はサプライチェーンであり、「この先数週のうちに、アップルの半導体部品の製造工場とか鴻海科技集団(フォックスコン)の工場で障害が顕在化したら、流通在庫が大きく減ってくるのかどうかが本質的な疑問だ」「アイフォーンの部品不足を判断するには時期尚早だが、実際に、サプライチェーンで1部品でも欠けてしまったら、他が計画通りに動いても、アップルの在庫維持能力に影響する可能性がある」と語った。

ガイダンス調整で株は低リスク

ただ、他のアナリストは今のところ、新型ウイルスをめぐり、アップル株はリスクが低いとみている。

同社は1~3月期の収入ガイダンスを630億~670億ドルと、比較的広いレンジに設定したが、新型ウイルスの影響を受ける可能性を反映した。エバーコアISIのアナリスト、アミット・デリアナニ氏は調査ノートで、業績見通しを調整し、新型ウイルスに関連したリスクを反映させたため、アップルは中国の影響を受ける株の中にあって、「リスクをより小さくしたものの一つ」になったと指摘した。

ウェッドブッシュのアナリスト、ダニエル・アイブズ氏は先週末、調査ノートで、最大100万台のアイフォーンの売り上げが1~3月期から4~6月期にずれる可能性があると分析。ただ、「売り上げの圧倒的多数がオンラインであるため、1週間のアップル店舗閉鎖の影響はこれまでのところ、取るに足りないものだ」と述べた。

さらに「新型コロナウイルスの流行は残念な状況であり、投資家にとって心配されるニュースだが,株絡みでは、この問題がアップルの売り上げに及ぼす影響は無視できるものだ」とした。アイブズ氏はアップルの投資判断を「アウトパフォーム」に、目標株価を400ドルに、それぞれ維持している。

アップル株は3日午後、一時0.8%高の311.96ドルを付けた。

 

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