サンプル(過去記事より)
S&P500指数、6000に向けて上昇中
好需給を背景に年末までの上昇を想定
例年と異なり好調だった9月相場
例年、この時期は株式市場がひどいことになるものだが、今年は違う。
確かに先週の主要株価指数は一時下落していた。中東における軍事情勢の緊張が原油価格を押し上げ、株価の重しとなったが、結果的には上昇して週を終えた。S&P500指数は0.2%高の5751.07となり、ナスダック総合指数は0.1%高の1万8137.85で引けた。ダウ工業株30種平均は0.1%上昇して4万2352ドル75セントと史上最高値を更新した。小型株のラッセル2000指数は0.5%安の2212.80で週末を迎えた。
市場はまだ経済に対して自信を持っている。9月雇用統計の非農業部門就業者数は市場予想を上回ったが、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げをやめるのではないかと懸念されるほどの好調さはなかった。S&P500指数の終値は過去最高値である5762.48が目前に迫る。
9月の上昇は年末までの上昇の予兆か
幾つかの要因が堅調な株価の背景となっている。FRBは9月に経済成長を維持するために、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げた。インフレが抑制されている限りFRBはさらに金利を引き下げる可能性が高いが、港湾労働者のストライキが解決したように見える現在、その可能性は高まっている。債券利回りの低下は、特に企業利益がまだ伸びていることから、株式の魅力を高めている。さらに、半導体大手のエヌビディア<NVDA>が先週2.9%上昇したこともプラス材料となった。これはエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が、人工知能(AI)向けの半導体生産がフル稼働していることを確認し、出荷の遅れに対する懸念が和らいだことが背景にある。
これらをすべて織り込みながらS&P500指数は年初来2桁の上昇となっており、その中には9月の2.1%の上昇も含まれる。これはめったにない状況だ。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、1928年以降における9月のS&P500指数のパフォーマンスの平均は1.1%の下落で、12カ月の中では最悪の月となっている。S&P500指数が9月にマイナスとなる確率は約55%だ。
今年の逆の流れは、年末に向けての一段の上昇を期待させる。バンク・オブ・アメリカによれば、9月が上昇で終わった場合、10~12月期に市場は79%の確率で上昇し、上昇率の平均は5.1%だという。S&P500指数が10~12月期にこの平均値の通りに上昇すれば、6000を超える水準で今年を終えることになる。
押し目狙いの買い手が控えている
このような勢いは、最近表面化している他のトレンドとも一致している。市場が割高になった時に想定される短期的な下落が起きると、買い手が殺到してS&P500指数を支えている。S&P500指数は今年、数字上で調整局面とされる10%以上の下落局面を迎えていない。最大の下落は7月中旬から8月上旬にかけての8%だった。ぜんまい時計仕掛けのように買い手が殺到した結果、指数は史上最高値を更新して9月を終えた。
カップシーシスの創設者であるフランク・カッペレリ氏は、今年は「次の下落局面を見逃すまいとするトレーダーの動きが目立った」と書いている。誰もがそのような動きに気付いているため、次に儲かる機会を逃したくないと思うもので、結果としてより多くの買いを誘い、上昇につながっている。先週エヌビディア株を買い増したマホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー氏は、「テクニカルな需給面の状況は非常に強い」と指摘する。
今飛び乗るのを控えたい人がいることは理解できるが、すでに市場に参入している人は市場にとどまり、年末にかけてもう一回上昇する可能性に賭けることを検討してもいいだろう。