「世の中を良くしていく」という大きな道を走っていく=レオス・キャピタルワークスの湯浅社長に聞く
2026年07月15日 07時00分

国内最大の日本株アクティブファンド「ひふみ投信」シリーズを運用するSBIグループのレオス・キャピタルワークス(本社東京)は、創業以来二十数年にわたり社長を務めた藤野英人氏が退任し、共同創業者の湯浅光裕氏が社長に就任した。湯浅氏に、抱負や今後の運営方針を聞いた。
◆レオスのリソースが役立てる環境を、より強くしていく
-社長就任の抱負は
湯浅氏 今あるレオスのリソースが、世の中のために役立てる環境をより強くしていこう、社会に貢献していこう、という気持ちでいっぱいだ。
2003年に共同創業者として藤野英人前社長らとレオス・キャピタルワークスを立ち上げた時から、考え方は何も変わっていない。レオスの行動規範である「レオスバリュー」の中に「オーナーシップ」がある。「『自分ごととして考える』ことを大切にする」という意味だ。私はいつも、そうした気持ちで生きてきた。
ドライバーが変わったことで、多少の変化はあるかもしれないが、「世の中を良くしていく」という大きな道を走っていくことに変わりはない。
◆資本市場を通じて社会に貢献
-改めてレオスの経営理念は
湯浅氏 レオスは「資本市場を通じて社会に貢献します」を経営理念としている。投資を通じて豊かな循環を生み出すとともに、ファイナンシャル・インクルージョンを通じて、金融サービスの恩恵を全ての人々が享受できる世の中を目指している。
僕らは、資本市場の中で生まれ、生かされている。その中で社会に影響と結果をもたらす存在になりたいと考えている。ただ、外部環境は、これまでも変わってきたし、これからも変わっていくだろう。そうした環境の中でトランスフォームしながら、一番、僕らの力が発揮できるところをもっと伸ばしていかないといけない。
日本は豊富な家計金融資産を持っている。レオスは、投資によってビジネスの世界にお金を投じることで、経済が生み出す付加価値を高めていくことを訴えてきた。投資が拡大することで、家計金融資産の中の現預金比率は、ようやく50%を切ってきた。
付加価値の合計がGDPだ。経済がデフレからインフレに転じ、設備や人への投資が拡大する中で、日本のGDPは名目ベースでも、実質ベースでも拡大を始めている。
◆投資を通じて豊かな循環を生み出す
湯浅社長 私は、お客さまにロイヤリティーを持ってもらい、製品やサービスに付加価値を乗せた価格を付けて、代金をいただくという行為を繰り返すことが大切だと考えている。これがバリューチェーンであり、この循環を回転させることが重要だ。そして、その重要なパーツがお金であり、投資だ。
ただ、やみくもに投資を増やせば良いわけではなく、自分たちの望む世界をつくるための製品・サービスになるべく多くのお金を注ぎ込んで、より良い世界を作っていくことが大切だ。こうしたお金の循環を回すことで、経済が拡大し、給与が増えて、豊かな生活が実現する。レオスが目指す「資本市場を通じて社会に貢献する」とは、こうした循環のことだ。
レオスは現在、こうした役割を果たせていると思う。レオスが、個人投資家と機関投資家からお預かりする資金は今年6月に1兆8000億円を突破した。これを3兆円、5兆円、10兆円と拡大していきたい。
◆自分たちの付加価値を再定義し発信していく
湯浅社長 レオスはこれまで、日本経済が停滞する中で、志を持ってお客さまの資金を集め、優れた投資先を見いだすことで、運用成績を残し、預かり資産を拡大してきた。現在は、投資の機運が高まり、国内外の株価が急騰しており、その中で勝ち抜くことは大変なことだ。
私は「何を買うか」よりも「誰から買うか」が重要な社会になると考えている。そうした中でも、レオスは、投資家に「選ばれる会社」でありたいと思う。もちろん運用成績もがんばらなければいけないが、それ以上に「僕らの生き方」や「社会に対する好影響」をお客さまに伝え、「あなたたちには社会にいてほしい」と思っていただけるように、自分たちの付加価値を再定義しながら発信していきたいと考えている。
日本の家計金融資産の48%程度は、まだ現預金だ。これを投資に回すことで、自分たちが生きている社会の中で重要な役割を果たすことができる。投資信託などを通じて、誰でも自由にこの循環に参加できることを知ってもらうことは、レオスの重要な役割だ。当社の直販サービスのお客さまは、未稼働のものを含めて10万口座程度だが、これを、20万、50万口座と拡大することで社会に貢献していきたい。
◆「ひふみ投信」シリーズの投資家層の拡大をめざす
-今後の事業展開は

湯浅氏 個人投資家を対象とする投資信託事業については、主に国内株に投資する「ひふみ投信」と「ひふみプラス」、海外株に投資する「ひふみワールド」と「ひふみワールド+」を展開しているほか、2024年からは「pro」シリーズとして、小型株に投資する「ひふみマイクロスコープpro」、未上場企業・上場企業の境界を越えて投資する「ひふみクロスオーバーpro」、政策の恩恵を受ける企業に投資する「ひふみポリシードライブpro」を新規設定してきた。
新設ファンドをやみくもに出すつもりはなく、今後も、僕らが「このエリアのファンドを提供するとお客さまはより多様なポートフォリオを組むことができるようになる」と考えるものがあれば提供していきたい。
さらに大切なことは、「ひふみ投信」シリーズの投資家層の拡大だ。当社は、インターネットで個人投資家にファンドを直接販売する「直販」と、銀行や証券会社などの販売パートナーを通じた販売を行っている。直販と販売パートナーを通じた販売それぞれについて、力を入れていく。
直販については、個人投資家と直接、話しができるので、「誰から買うか」という意味をしっかり伝えていく。6月に設定した「ひふみポリシードライブpro」は当初、直販のみの取り扱いにした。こうした展開により、顧客層の拡大を図っていく。
販売パートナーに対しても、レオスは「こうした付加価値を生み出している会社だ」ということを伝えて、お客さまのポートフォリオの多様化に役立てていただきたいと考えている。
若年層への拡大については、SNSを活用して、情報発信していく。また、チャンネル登録者数78万人超のYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」を通じて、投資に関する学びの機会を継続的に提供し、お客さまの長期の資産形成を応援していく。さらに、小中高校生向けにお金に関する出張授業のプログラムを用意しているので、金融機関と協力して、金融経済教育の普及を図っていきたい。
◆海外資金を日本に呼び込む、国内機関投資家には新商品
湯浅氏 次に、機関投資家の資産を運用する投資顧問業務だが、当社は2008年から、世界最大のソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)である「ノルウェー政府年金基金グローバル」、(ノルウェーバンク インベストメントマネジメント NBIM)の資産を受託している。
当社は、海外の機関投資家にも運用力を認められ、受託資産を拡大してきた。これまで実績を生かして、さらに、海外の資金を日本に呼び込みたい。インデックスを買えばいいという機関投資家もいるが、「自分たちの投資はこうありたい」と考えてアクティブ運用を選択する機関投資家もたくさんいる。
日本市場はこれまで「世界の中で見なくていい市場」だった。しかし、日本経済がインフレに転じ、市場の時価総額が拡大する中で「無視できない国」になってきた。
国内の機関投資家に対して、当社は今年3月、光通信グループの投資有価証券を活用した投資事業有限責任組合を組成した。「配当収入」と「株価変動に伴う損益」を切り分けることで、投資家は配当収入のみを受領し、株価変動に伴う損益は光通信グループに帰属する仕組みにした。こうした商品を手掛かりとして、年金基金や学校法人からの受託資金を拡大していく。
◆バックオフィス機能の共通化、AIによる効率化
-SBIグループとの連携は
湯浅氏 SBIグループの資産運用事業の内容を見ると、インデックスやオルタナティブに強いSBIグローバル・アセットマネジメントとSBIアセットマネジメントに、アクティブ運用のレオス・キャピタルワークスとSBI岡三アセットマネジメントが加わることで、インデックスとアクティブの比率が半々程度と、バランスが良くなった。
SBIグループは、2027年3月末に運用資産総額(AUM)20兆円という目標を掲げている。AUMと利益の両面で貢献していきたい。
検討課題は、バックオフィスの機能の共通化と人工知能(AI)を利用した業務効率化だ。具体的に決まったことはないが、各社で業務内容の洗い出しを行っている。
◆インフレで資産運用が重要な時代に、金融包摂に貢献
-株価が急伸している。投資家にアドバイスは
湯浅氏 日経平均株価が7万円台に上伸し、東証株価指数(TOPIX)も4000ポイントを超えてきた。ただ、こうした中でも現預金に1100兆円もの資金が置かれている。もしこれらの資金がマーケットに投資されていたら、多くの人の生活を豊かにできたのにと考えると、とても残念だ。
投資によって企業を応援することで、日本経済のプレゼンスが高まる。国民の金融資産が増加して消費が拡大することで、豊かな社会を実現することが期待される。今からでもまったく遅くない。そうした社会の実現に向けて、レオスは、アクティブ運用を通じて、その一翼を担っていきたい。



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