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長期期待リターン、米株6.1%、日本株6.8%=キャピタル・インターナショナルが20年の長期市場見通しを初公開

2026年03月18日 07時30分

雨宮弘明取締役インベストメント・ディレクター

 米国アクティブ資産運用会社キャピタル・グループの日本法人キャピタル・インターナショナル(本社東京、小泉徹也社長)は、世界の主要資産クラスについて、今後20年の年率リターンやリスクの見通しをまとめた「2026年資本市場前提(Capital Market Assumptions)」を発表した。日本では初公開になる。

 株式の長期期待リターン(ドルベース)は、米国株は6.1%(前年は6.3%)、日本株は6.8%(同7.0%)にそれぞれ引き下げた。企業業績の成長にけん引された堅調なリターンを予想しているものの、このところの株高でバリュエーションが上昇していることを織り込んだ。

 雨宮弘明取締役インベストメント・ディレクターは、投資家へのアドバイスについて「値動きの大きい運用期間になると見られる。株式と債券へのバランスの取れた分散投資を行い、地域や運用スタイルについてもしっかり分散したポートフォリオを組むことが重要だろう」と述べた。主なポイントは以下の通り。

◆20年の長期見通し、マルチアセット運用の土台に

-「資本市場前提」とは

雨宮氏 世界の主要資産について、キャピタル・グループの調査に基づき、リターン、リスク、相関関係などをまとめたものだ。20年間という非常に長い期間の見通しを毎年アップデートしている。米国のキャピタル・グループでは、退職年齢に向けて資産配分を変更するターゲットデートファンドを運用しており、こうした運用期間の長いマルチアセット戦略の土台として使用している。当社の運用に使用するだけでなく、2023年からデータの公開を始めた。日本では今回が初公開だ。

◆長期の平均的なリターンを提供する環境にある

-「2026年資本市場前提」のポイントは

雨宮氏 株式のバリュエーションの上昇を踏まえ、前年の見通しからやや引き下げたが、長期では中立的な前提を維持している。具体的には、株式で年率約6%、債券は3~6%台とした。足元でも地政学的リスクが起こっているが、それを含んでも、株式と債券は長期の平均的なリターンを提供する環境にあると見ている。

◆ボラティリティの大きな展開に

-今後の注意点は

雨宮氏 一つは、ブレ幅が大きい運用期間になると見られることだ。ここ数年の株価上昇で割高感が高まっている。企業のファンダメンタルズは堅調と見ているが、何らかのショックが起こった時に、大きく下落する可能性がある。債券の方でも、クレジットがかなりタイトになっており、何らかのショックが起こったときに、スプレッドのワイド化が、株式と同じように起こる可能性がある。

 二つ目は、地政学リスクの高まりだ。コロナ禍以降、サプライチェーンの脆弱性が強く意識され、米中の緊張関係が緊迫化し、中東やウクライナ、南米などで衝突が発生している。グローバルなパワーバランスが変化したことで、不確実性の高まりが、常態化することが懸念される。

◆AI投資や効率化が好材料に

―世界経済の見通しは

雨宮氏 長期のGDP成長率やインフレについては、落ち着いた環境を予想している。米国の長期実質GDP成長率見通しは年率2.4%、長期インフレ率見通しは同2.3%とした。金融当局が想定する2%前後で収斂していくだろう。

 先進各国は、人口動態がマイナスに効いている。しかし、データセンターやAI関連の投資がしっかり行われており、これが継続するだろう。また、AIやオートメーションによる生産性の向上がプラスに働くと考えている。

◆日本企業のガバナンス改革、これからも加速

-日本株式の見通しは

雨宮氏 日本株ついては、コーポレートガバナンスの改善と、株主還元のトレンドが継続していくだろう。企業訪問を通じて、このトレンドは不可逆的で、ますます加速していくと感じている。

 資本市場前提のデータは、ドルベースの予想になっている。日本株の期待リターンの6.8%はやや大きめに感じたかもしれないが、ここにはドル安の効果が入っている。ドルについてはバリュエーションが高いと見ており、日本円に対して年率2%の円高・ドル安を想定している。

株式市場長期見通し(クリックで表示)
債券市場長期見通し(クリックで表示)


◆テールリスクに備え、バランスの取れた分散投資を

-投資家のアドバイスは

雨宮氏 長期で見ると、株式と債券はともに魅力的なリターンを提供する環境にあるが、時おり振れ幅が大きくなる、テールの長い運用環境であることを、十分認識しなければいけないだろう。

 資産運用の観点では、株式と債券へのバランスの取れた分散投資が求められる。また、米国やグロース株に極端に集中したポートフォリオを組むのではなく、地域やスタイルをしっかり分散したポートフォリオを組むことが重要な局面だと考えている。

 

 

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