子会社に係る重要事実

 上場会社等の子会社に関する情報も、親会社である上場会社自身の重要事実になります。重要事実の項目も上場会社と同様に、①決定事実、②発生事実、③決算情報、④バスケット条項-が規定されています。

 しかし、親会社である上場会社の決定事実とは異なり、子会社の決定事実においては、

株式等の募集

資本の額の減少

資本準備金又は利益準備金の減少

自己株式の取得

株式無償割当て

株式の分割

配当異動

上場廃止の申請

防戦買いの要請

-の9項目が除外されています。

 また、子会社の発生事実においても、

主要株主の異動

上場廃止の原因となる事実

親会社の異動

-の3項目が重要事実に規定されていません。これらの子会社に関する情報は、親会社である上場会社の投資判断に与える影響が限定的であるとして、除外されているものと考えられています。ただし、子会社が第三者割当増資(株式等の募集)を実施することで子会社ではなくなるケースなどもあり、除外されている項目が必ずしも親会社である上場会社の投資判断に与える影響がないというわけでもありません。こうした場合については、「当該上場会社等の子会社の運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」として、バスケット条項で重要事実と判別されることも少なくありません。

 一方、子会社に関する情報が親会社である上場会社等の重要事実に該当するか否かの判別基準である軽微基準や重要基準についても、それぞれの項目ごとに規定されています(「軽微基準・重要基準早見表」参照)。上場会社自身の基準と異なるのは、子会社の情報は親会社である上場会社等の投資判断に直接影響を及ぼすわけではなく、間接的な影響であることから売上基準や資産基準が原則として連結ベースで判別するようになっていることです。なかには、「解散」のように上場会社の場合は軽微基準がなかったにも関わらず、子会社の「解散」の場合は軽微基準が設定され、重要事実に該当しないケースもあります。

 つまり、子会社に関する情報でも、親会社である上場会社の投資判断により影響を及ぼすものを重要事実とするよう配慮がなされているわけです。